各施設ごとに分断されていた課題を一元管理
経営戦略、広報戦略、運営戦略が全てマッチしたことで、
広報でも、経営でも、過去にはなかった成果を実感
神奈川県の箱根で旅館を5店舗、飲食店を3店舗運営している 株式会社金乃竹。
外国人スタッフが全体の20%を占めるなど、グローバルな人材採用をはじめ、各個人スタッフの得意や知識、経験を和の体験アクティビティとして販売する福利厚生制度を導入するなど、ユニークな取り組みを行っている企業様です。
今回は、今年6月にネタもと導入から2年目を迎えた、株式会社金乃竹 経営戦略本部 本部長 八幡 正昭様、経営戦略本部 主任 渡邉 ゆめの様に、導入前と現状について詳しくお話を伺いました。
ネタもと導入前の課題や悩み
私たちは創業360年の箱根 芦之湯温泉にある老舗旅館「松坂屋本店」や、箱根 塔ノ沢温泉郷に位置する「金乃竹塔ノ澤」をはじめ、それぞれにコンセプトをもたせた5軒の温泉旅館・ホテル施設、3軒の飲食店の企画・運営を行っています。
当時は、これらの施設に関わる経営が各施設ごとにそれぞれで完結されており、情報の共有やコミュニケーションがうまく取れていなかったことが大きな経営課題としてありました。経営において人事面はとても大切だと思いますが、当時は人事部署もなく、各施設ごとで営業担当が都度採用を行っていました。
言ってみれば、誰を採用し、どこに配置するか、その方が入った後のきちんとした評価や報酬はもちろん、適材適所に合わせ仕事をしていただくことで能力開発もできると思うのですが、こういった採用、配置、評価、報酬、能力開発なども全て各施設ごとに分断されていたということがありました。
今は人材戦略グループが私のいる経営戦略本部に増設されたことによって、全てつなげて行うことができていますが、当時のままでは、企業としてのバランスが崩れてしまう可能性がありましたので、そういった偏りを減らしていきたいという悩みがありました(八幡様)
ネタもと導入前の「広報PR活動」状況
PRの観点で言うと、先ほどお伝えした通り、そもそも各施設や部署でしか採用や情報共有を行えていませんでしたので、情報を出すにしても各施設ごとにバラバラと発信することが通常で、それらの情報を全社で取りまとめ、広報活動を積極的に行うということはできていませんでした。
ですので、お客様に情報発信したり、メディアに向けプレスリリースを書いたり、メディアアプローチを行ったりすることもありましたが、今と比べると消極的で、書き方なども各施設ごとに異なっていたかと思います。
何か取材の問い合わせを受けたとしても、各施設で担当していましたので、取材を受けた後のメディアとの関係構築も、ほとんどできていませんでしたし、そもそもメディアと接点を持つという機会も今ほど多くありませんでした(八幡様)
広報PR活動を重視するに至った理由
まず第1に、金乃竹グループ全体のブランディングを強化していきたいという理由がありました。我々は「スモール ラグジュアリをモットーに、各施設と各客室の設えを十人十色に合う異なるものへ」というコンセプトにならい、各施設で意匠異なるコンテンツターゲティングを行っています。客室はもちろん飲食店まで、それぞれのターゲットが異なるため、メディアアプローチをする際も各施設に合った媒体や的を得た情報発信が必要になって来るなと感じました。
そのためにも、今までのように各施設ごとに分かれて行うのではなく、本部で取りまとめ、一貫した広報戦略を行うべきだという考えが強まりました。
また、ネタもとの本村社長も仰っていた通り、経営戦略と広報戦略が対であるということは、私も前職時代から意識しておりましたので、それであれば、私の在籍する経営戦略本部の配下にPRを担う部署を作ってしまおうと動き出したことが背景にあります。
しかし、いざ動き出したものの、私もマルチタスクで行っていたので、なかなか広報に割く時間を作ることができず歯がゆさを感じており、PRコンサルタントを探していたところ、偶然にも、ネタもとにたどり着きました(八幡様)
ネタもとを選んだ理由
ネタもとのビジネスコンセプトが面白いなと思ったことが大きな理由です。通常のPR会社であれば、PRコンサルタントがいて、その方に我々の代わりにメディアアプローチをしてもらい掲載を取ったり、取材対応を行ったりということが多いのでしょうが、ネタもとはそうではなく、自社で広報を自走化していくことを目指しているというところが、他社とは異なるビジネスモデルで面白いと感じました。
やはりPR会社にお願いするとなると、ランニングコストがかかってきますし、そこから二重三重でオプションなどもついてくるので、しっかり広報活動を行おうとすると時間がかかる分、コストもかけ続けていかなければいけないですよね。広報ノウハウやメディアとの接点も、結局はお願いしているPR会社が代行してくれているだけなので、自分たちの会社に残る広報に関する武器は少ないと感じました。
その点、ネタもとであれば、自社で広報を自走化させることに重きを置いているので、自分たちの会社にも広報ノウハウやメディア接点などの武器がしっかり残りますし、ネタもとを卒業したとしてもその武器を持って今後も自分たちで続けていくことができる。
また、これまで積極的に広報活動を行えていませんでしたので、ほぼ0→1から広報をやるにあたって、何から始めたらいいのかという不安も多少ありましたが、基礎トレーニングから始められるということもネタもとを選んだ理由の1つでした(八幡様)
広報PR活動で取り組んだこと・工夫したこと
契約当初は、広報戦略が現場から出てくるという考えはなかったんですね。私たちの会社は縦軸と横軸があり、各施設の宿泊月の売上や人数が経営に大きく関わってきます。たとえば、8月の宿泊者というのは、7月の集客もあれば6月、5月の集客も含んだ、今までの積み上げが8月の合計になるので、何月に、どこの施設を集客するために、何をやらなければいけないのかという組み立てが非常に大事になってきます。
しかし、残念ながら各旅館施設からそういった戦略・戦術的なところは、なかなか上がってきませんでした。それであれば、経営戦略、広報戦略をリミックスして、PRで先に打ってしまえばいいのではないか。言霊のように、先に広報戦略としてトップダウンから伝えたうえで、現場のオペレーションを着いてこさせるという手法を使っていました。
もちろん現場には、「こういうことをやるので、誰がいつまでにこういうことをやってください」と共有しますが、現場で考えにくい、動きにくいのであれば、我々が率先して企画をするので、まず現場は着いてきて欲しいというように取り組みました。
そうしたところ、今では現場から、自発的に懸念や企画が上がるようになりました。たとえば、「この施設の何月の集客が足りていないので、ちょうど七夕の時期も近いことから、短冊に願いをかける集客イベントを企画してみてはどうか」など、現場の自分たちで考える集団になってきました。
言い換えると、ティーチングとコーチングですね。先に知識ややり方を伝えるティーチングがあり、現場が理解、学ぶことで、その後自分たちで新たに考え、行動することができる。基礎を受けたうえで応用のコーチングが有効になると思っています。
現場はできない、やれないのではなく、単純にやり方が分からなかっただけなので、先に経営戦略、広報戦略を交えて発信することで、現場に追いついてもらい、それを繰り返すことによって彼ら自身にもノウハウが溜まっていき、しっかりと現場主体で声が上がってきていますので、経営戦略、広報戦略と運営戦略が全てマッチングしている状況です(八幡様)
「メディアとの接点」における成果
以前までは、メディアリストもなく、メディア接点はほとんど0でしたが、ネタもとを使い、一度に複数のメディアと交流することができる『メディア交流会』や、記者個人が知りたい情報を探す『リサーチ』、現役メディアの生の声を聞くことができる『メディアセミナー』などを利用することで、メディア接点は、約120名獲得することができました。
また、広報活動を積極的に行い、個別にもアプローチを行ってきたことで、自社独自の関係構築ができた方々のメディアリストは、計150名ほどにも及んでいます。接点数が増えたことはもちろん、個別にご連絡できるリレーションメディアができたことも1つの成果と捉えています。
基本は、発信するプレスリリースの内容に合わせてご案内を差し上げる媒体を選別していますが、その中でも、以前掲載していただいたメディアの方や特に個別にご連絡する方もいらっしゃいます。その方たちには、何か新しい情報をお知らせする際、以前掲載いただいた記事の感想やその方が直近に書かれた記事について一言添えるなどして、今後も良い関係性を保てるようにしています(八幡様)
「PRのノウハウ」における成果
プレスリリースに関しては、以前も作成はしていましたが、積極的に広報活動を始め、ネタもとの『勉強会動画』や『メディアセミナー』『経営者向けメディアセミナーダイジェスト』などから広報ノウハウを学んだおかげで、タイトルもリード文も本文の構成までも全て変わりましたね。
ネタもとのプログラムでは、基礎知識を学ぶことも多いのですが、新聞記者から雑誌の編集長、テレビ番組のプロデューサーなど、幅広いメディアの方が講師としてお話ししていることも多いので、以前作成したプレスリリースと見比べてみても、メディア視点で読みやすい、興味を持っていただける背景やキャッチフレーズなどを用いたプレスリリースを作ることができるようになったと感じていますし、その分、問い合わせや反響にもつながっていると思います。
実際、連泊滞在のインバウンド需要が高まっていることから「旅館+バカンス」を組み合わせ、「リョカンス」という造語を作り、情報発信させていただいたところ、全国紙の記者の方に取り上げていただきましたし、他メディアからも興味を持っていただけるなど、成果を感じております(八幡様)
「ヒト(広報担当)育成」における成果
これまでは私がメインで広報を行ってきましたが、4月頃から渡邉にも加わってもらい、より広報を加速化するように動いています。約2年間、私が培ったノウハウや接点を体系化し、社内にも残しておかないと属人的になってしまい、金乃竹としての広報機能も止まってしまうと思うので。
ネタもとの広報自走化に共感しているからこそ、そういった体制をきちんと整えなければと思っています。渡邉はもともとサービススタッフとして働いていたので、広報未経験ではありますが、『リサーチ』のエントリーは、すでに渡邉が書いてくれています。
ネタもとの『勉強会動画』は広報担当者の仕事内容から具体的なプレスリリースの書き方、メディア概論やアプローチの仕方、ネタもとの活用方法など様々で、どれも5分~10分ほどの短い動画が多いので、スキマ時間に見ることができます。
カテゴリーごとに分かれているので、学びたい内容を一気に視聴し理解を進めることができるので、『リサーチ』は月に10本以上、プレスリリースも月に4本を目標に進めてもらっていますし、そこからメディアとのマッチングにもつながっているので、すでに成果が出てきていますね(八幡様)
広報を経験する前は、お客様への接客をメインとしていましたので、広報活動はそもそも未経験で、初めて挑戦することも多かったのですが、PRを学びメディアと接点を持てたことで、自分で1から作りあげたり、それが世の中に発信され、形になっているということがとても新鮮で、日々達成感につながっています(渡邉様)
ネタもと独自の「PR活動診断」
ネタもとでは、定期的に独自の「PR活動診断」を実施し、お客様の「自走化状況」を可視化・数値化することで、成果が見えづらい広報活動の「効果検証」を可能にし、自走化実現までの道のりをしっかりとサポートしています。
これまでに掲載された主な媒体名
・毎日新聞
・産経新聞
・神奈川新聞
・日経ビジネス
・東京カレンダー
・LEON
・経済界
・人事の地図
・首都圏情報 ネタドリ!
・あさイチ
・Nスタ
・ヒルナンデス!
・news every.
・めざましテレビ
・ひるおび
・羽鳥慎一モーニングショー
・Live News イット!
・堀潤モーニングFLAG
・ザワつく!路線バスで寄り道の旅
・日経ニュース プラス9
・Yahoo!ニュース
・ZUU online
・小田原箱根経済新聞
掲載されるために工夫したこと
我々の場合は、運営している宿泊施設に問い合わせや取材が入ることが多いのですが、その際は、必ずロケハンから立ち会うように意識して取り組みました。取材の下見や下調べでメディアの方がいらっしゃった時点で、「この番組であれば、こういった層を意識しているのかな」「最近は、こういった内容がトレンドなので、我々も関連するサービスを話してみよう」というように、メディアの方が今撮りたいであろう内容を私たちなりに考え、先回りして提示するということを意識していました。
「テレビであれば、こういう画が撮れますよ」ということはもちろんですが、取材していただく番組の企画書や過去の放送も必ず拝見し、そこには書かれていない一歩先をあえて考えるように意識していました。
「こういう内容が撮れたら、他番組と差別化になって喜んでいただけるのではないか」「要望には入っていないが、こういう情報もあった方がより分かりやすくなるのではないか」というように、ただ取材を受けるのではなく、私たちも出来る限り取材に協力したい、メディアの方や視聴者(読者)にとって良い内容を一緒にお届けしたい、という思いを込めて接することで、次につながる成果が出ているのかと思います(八幡様)
どのような企業に「ネタもと」を勧めたいか
中小・ベンチャー企業こそ広報活動に取り組むべきだと思います。私たちのような接客業を始めとするBtoCの企業はもちろんですが、特に最近だと製品のコモディティ化が進んでいますので、競合他社が多い企業やその中で自社の成長が鈍化していると悩んでいる企業もあるのではないかと思います。
いくら良い製品を作っていても、製品に自信があったとしても、他社となかなか差別化できなければメディアはもちろんお客様にも知ってもらえないので、そうなってくると今までとは異なる売り方を考えていかなければいけないですよね。
製品・サービスのブランディングの売り方であったり、ターゲットの買い方であったり、会社の打ち出し方を考えていくと、その製品が生まれた背景から開発秘話、苦労したことや改善していった過程など、ネタもとが普段から私たちに伝えてくれている様々なストーリーを言語化することができます。
自分たちのサービスをしっかり言語化し、世の中へ適切にPRすることで、新たに知ってもらうきっかけになったり、すでに知ってくれている方からはファンになってもらったり、目指すべきリブランドになるのではないかと思います(八幡様)
今後のさらなる目標
今期で我々の会社は29期を迎えるのですが、28期は18億円の売上規模、今期は着地売上見込み25億円、30期に関しては30億円、2030年には50億円の事業規模を計画しています。この度、金乃竹グループが旅館事業を始めた第1号店である「富士荘」という旅館が、1947年に創業されてから今年の9月で77周年を迎えます。
ですので、金乃竹グループに関しましては、2030年50億円、2040年には100億円を目指しながらも、まずは、今年の77周年という節目を盛大に盛り上げつつも、100年続く老舗企業を目指していきたいと考えています。
そのためには、新規宿泊施設の開業や旅館事業におけるプロパティの新規計画、多角化という意味では周辺事業のシナジーを生むクラフトビール工房やレストランの開業、さらには、それらを全世界に向けた通販で売っていくなど、勢力的にチャレンジしていきたいです。
また、金乃竹グループでは、「10年後にもわくわくと感動」を提供していくために、国籍・人種・宗教などを超えた多様性ある人財を育て、どんなに小さくともお客様の人生のなにかしらにポジティブに影響を与えられたら良いと考えており、実際にそこから自分の知識や特技、経験スキルをインバウンドのお客様に披露、提供する社内副業制度が生まれました。
お客様に自分のスキルを通して喜んでもらい、それが対価にも結びついていることで、個人の満足度や成長意欲にも直結しているようです。契約当初懸念していた皆が自分らしく活躍でき、能力を開花させられる環境も徐々に整ってきていますので、より多くの仲間を増やし共に成長、挑戦していけたらと考えています(八幡様)
グループ全体のブランディング強化や、各施設ごとに分断されていた課題を、広報が主体となって一元化に取り組んだことで、経営においても、広報においても、様々な成果を得られているようです。
「ネタもとを卒業したとしても、その武器を持って、その後も自分たちで続けていくことができる」
と、八幡様がおっしゃっていた通り、それがネタもとの真のコンセプトになります。
今回の成功事例は、外部のPR会社に任せるのではなく、自社で広報活動を主体的に行っていきたい企業様にとっては、とても参考になったのではないでしょうか。
お忙しい中、快くインタビューにご協力くださった八幡様、渡邉様、本当にありがとうございました。
参考:株式会社金乃竹様:グループ全体180名 (アルバイト・派遣含む/2024年8月現在)