売り場に商品を並べるだけでは売れない時代
まだ見ぬお客様や求職者へ自社の価値を発信していく
その重要性を改めて実感し広報を重視

自転車文化の裾野を広げ、底上げを図ることを自社の役目とし、笑顔で『ただいま』と言えるサイクルライフを提供する株式会社サギサカ。
部署ごとに実現可能なテーマと課題に取り組み、現在は、梱包資材の見直しやエコな乗り物である自転車活用を推進する他、シニア高齢者用自転車【こげーる】の企画・販売、中学生の職場体験施設の認定事業所などを通じてCSR活動にも積極的に取り組んでいる企業です。
今回は、ネタもと導入から2年目となる、株式会社サギサカ 代表取締役社長 匂坂 慎祐 様、広報室 マネージャー 市川 実 様に、ネタもと導入のきっかけや広報活動の成果など詳しくお聞きしました。
ネタもと導入前の課題や悩み
「売り場に商品を並べるだけでは、もう売れない時代になった」この変化を実感したのは、ここ数年のことです。
弊社は、創業以来、自転車関連商品の卸会社として歩んできました。大手量販店との強固な取引関係を築き、バイヤーとの信頼も厚く、売り場づくりまで一任していただけるほどでした。店頭での販売実績に応じて自動的に発注がかかるシステムが確立されており、正直なところ、広報活動に力を入れなくても売り上げは維持できていました。
しかし、ここ数年で状況が大きく変わりました。従来の卸売業から、自社製品の企画・製造も手がけるメーカーとしての顔も持つようになり、商品を店頭に並べて待つだけの販売手法では、不十分だと感じるようになったのです。
「これからは、メーカーとしての存在感をより強く打ち出していきたい」、そのためには販売店の力に頼るだけでなく、お客様に直接、弊社の商品価値や企業理念を伝えていく必要があると思いました。
また、当時の経営課題として、人材不足解消やエンゲージメント向上もありました。「この会社で働いていて良かった」と感じてもらうために、そして新たな人材を採用するためにも商品だけでなく、会社としての魅力を対外的に発信していく必要があったのです(匂坂様)
ネタもと導入前の「広報PR活動」状況
ネタもと導入前は、広報活動を一切やっていませんでした。社内で「ブランディング」や「マーケティング」という言葉は飛び交ってはいましたが、それは表面的なもので、イメージロゴを新調するなど形だけに留まり、その先の継続的な情報発信活動には踏み込めていませんでした。
SNSの情報発信を試みた時期もありましたが、日々の業務に追われると更新の優先度は下がり、「やる意味があるのだろうか」と疑問を感じるようになってしまいました。広報活動の本質的な意義や、取り組む姿勢について、十分な理解が社内に浸透していなかったことが原因でした。
広報活動を始めるきっかけとなったのは、「ブランディング推進室」の立ち上げです。企業としての価値を発信し、企業価値を向上させていこうと発足しましたが、「具体的に何をすればいいのか」「ブランディング推進ってなに?」と手探りの状況が続きました。
そこで、部署名も社内外に分かりやすい「広報室」に改め、その役割を明確にしようと試みました。そこで広報PRという手法にたどり着いたのです(匂坂様)
広報PR活動を重視するに至った理由
「流通さえ回っていればいい」という考え方を、大きく転換する必要がありました。弊社は長年、流通業として確固たる地位を築いてきました。「注文を受け、商品を供給する」このシンプルな仕組みが会社の根幹を支え、それは今でも重要な事業基盤です。
しかしこれが私たちの視野を狭めていたことも否めません。企業としての認知度を高め、存在価値を発信していくという外向きの視点が、社内には決定的に不足していたのです。
弊社社長から「自社の流通で商売をするのも大切だが、商品自体をダイレクトに消費者に認知してもらうことが大切」という言葉を受けた時、私は広報の重要性を強く実感しました。特に7〜8年前から展開している自社ブランド自転車「こげーる」の経験が、その想いを後押ししました。
地道に販売活動を続けてきたものの認知度と販売数の伸び悩みに直面していたからです。「まだ見ぬ消費者へ、私たちの価値を発信していく」その重要性を改めて実感したことが、広報を重視するに至った理由です(市川様)
ネタもとを選んだ理由
広報のノウハウを1から学べる環境やコンテンツが整っているからです。ネタもと導入前に、自社で数回プレスリリースを書いたことがありますが、弊社が発信する内容とメディアが求めているものとでは、大きなギャップがありました。
一時的に、プレスリリース配信サービスを利用していた時期もありましたが、スペックや価格の情報を発信するだけでは、メディアとの接点は生まれません。今振り返ると、「お客様目線」で伝えていたつもりでも、「バイヤー目線」が抜け切れていなかったのだと思います。
そんな中で出会ったのが、ネタもとでした。伴走型の広報支援に強く惹かれ、同時に直感的な信頼を感じました。
導入の後押しとなったのは、ネタもととメディアの関係性が深いことです。ネタもとは、長年にわたって築き上げてきた独自のメディアネットワークを持っています。その上でメディアが求める情報や切り口を具体的にアドバイスしてもらえると思いました(匂坂様)

広報PR活動で取り組んだこと・工夫したこと
当初は、広報のノウハウもないままスタートを切り、まさに手探りの連続でした。そこで、まずは知識を蓄えようと思い、ネタもとの『オンライン講座』を隅々まで視聴し、期間限定の『メディアセミナー』も欠かさず受講しました。他業務も抱えながらインプットしていたので、時間の捻出に苦心しました。
また慣れないことで苦労したのは『メディア交流会』です。短い時間で自社のことを伝えなければならないにも関わらず、初回の参加時は、「何の会社なのですか?」とメディア側から逆質問してもらう形になってしまい、恥ずかしながら何の印象も残せませんでした。
しかし、参加している他社のアプローチ方法を目の当たりにし、限られた時間で会社の本質を伝える工夫は必要だと即座に感じました。それ以降は「自転車のことはサギサカに聞いてください」とストレートに伝えています。メッセージを端的に伝えることで、「自転車といえば・・・」と思い出してくださるきっかけになればと思っています。
幸いにも、初年度からメディアに取り上げていただく機会があったので、実践を通じてメディアとの関係構築の方法やスピード感を体感することができました(市川様)
「メディアとの接点」における成果
広報活動を全くしていない状態から1年4カ月が経ちましたが、思いがけないほど成果がでています。
自転車業界の大手雑誌2社とは定期的なコミュニケーションが実現し、新商品のプレスリリースに対しては、毎回ビジネス紙が取り上げてくださるようになりました。新聞媒体にも、弊社の企業紹介や活動が取り上げられるようになってきています。
また『リサーチ』にエントリーしマッチングが成立した通信社へは、こども新聞への掲載の機会を与えていただきました。ものづくりの視点で従業員の仕事を紹介できたので、これまでにない切り口で弊社の姿を伝えることができました(市川様)
メディアとの接点が増えるにつれ、思いがけない出会いも生まれました。新聞記事や弊社のHPに掲載しているブログをご覧になったメディアから、ラジオ出演のオファーをいただくようになったのです。
直近の出演では、シニア層と自転車という社会課題について語る機会をいただきました。その際は社会的背景を交えながら弊社の自転車「こげーる」の紹介ができ、ラジオという新しい媒体を通してアプローチできたのは大きな進歩だと感じています(匂坂様)
「PRのノウハウ」における成果
『リサーチ』では、製品に込められた想いや、社会貢献をメディアに伝えるノウハウを培いました。
ネタもと導入当初『リサーチ』を活用しようと試みましたが、どのメディアにエントリーすればいいのかも分かりませんでした。そこでメディアのジャンルはあえて絞り込まず、可能性を感じた案件には片っ端からエントリーしていきました。
エントリーを多数重ねる中で、成立・不成立の傾向が少しずつ見えてきたのです。タイトルの付け方、文章の構成、そして最も重要なのが「刺さる情報」の伝え方です。これらのノウハウが、実践を通じて着実に蓄積されていきました。
大きな気づきとなったのは、社内取材の重要性です。製品のスペックや価格だけでなく、製品への想いやストーリーを紡ぎたいと感じ、製品開発に携わる社員たちに開発動機や想い、開発を通じて実現したいことなどの聞き取りをしました。社内取材では私自身が「質問する側」の立場を経験したことで、メディアの視点も少しずつ理解できるようになってきたのです。
「なぜこの製品を作ろうと思ったのか」「どんな社会的課題を解決したいのか」本質的な問いかけを通じて社員の想いを引き出し、メディアに響く形で伝えていく。その難しさと重要性を、実践を通じて痛感しました(市川様)
「ヒト(広報担当)育成」における成果
広報活動は突発的なものではなく、日々の活動に自然と組み込まれるべきものだと気づき、現在は社内の協力体制を強化しています。
まず自分自身が日常的に意識して取り組んだのは、情報感度の向上です。日々新聞に目を通すことを日常化し、見出しになっている時事やトレンドを中心にチェックしています。インターネットでは自転車関連のキーワードを検索し、世の中の動きと自社の取り組みを結びつける視点を養っていきました。
広報室は2名体制で運営しています。私がメディアとの関係構築を担当する一方、もう1名はSNS運用とブログの執筆を担当しています。ブログでは、自転車にまつわるコラムを週1回のペースで配信しており、販促カレンダーや季節の移ろい、そして時事的な話題も織り交ぜながら、読者に寄り添うコンテンツの配信を心がけています。ネタ出しは2人で意見を出し合い、それぞれの視点を活かしながら進めています。
社長のテレビやラジオ出演、新聞掲載といったメディア露出は、積極的に社内に共有していますが広報の重要性が広く認知されているとは言い難いです。そのため今後は社内広報にも力を注ぎ、社内全体で取り組んでいけるよう強化しています(市川様)
ネタもと独自の「PR活動診断」
ネタもとでは、定期的に独自の「PR活動診断」を実施し、お客様の「自走化状況」を可視化・数値化することで、成果が見えづらい広報活動の「効果検証」を可能にし、自走化実現までの道のりをしっかりとサポートしています。
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これまでに掲載された主な媒体名
・FM AICHI「EVENING STREET」
・メ~テレ
・日本流通産業新聞
・共同通信
・日刊ゲンダイ
・TBSラジオ 「ミラクルサイクルライフ」
・日経MJ
・新潟Komachi
・中部経済新聞
・東海ラジオ放送
・日刊工業新聞
掲載されるために工夫したこと
プレスリリースの書き方は、ネタもとを導入したことによって創意工夫を凝らせるようになりました。タイトル作成には大変苦労しました。短い文字数の中で何を強調すればいいのか、分からなかったからです。
そんな中、ネタもとの広報トレーナーによる伴走支援を受けたことで、0→1でネタを作り出す方法や年間のPRロードマップの策定まで、ノウハウを蓄積しながら幅広く実践することができました。
特に印象に残っているのは、トレーナーから直接指導を受けたタイトルのつけ方です。価格、スペック、開発秘話、どの視点でタイトルをつければいいのか分からず情報過多になっていましたが「情報を盛り込んでも、結局のところは刺さらない」と教わりました。
厳選したキーワードでタイトルをつけ、タイトルで伝えきれなかった想いを本文で丁寧に紐解くことが大切だと気づけたのです。この工夫をきっかけに、メディアに取り上げられる機会も増えてきました。
その後は新聞やニュースをチェックする際に、見出しも目を配るようになりました。例えば、インターネットで自分が閲覧した記事は、どういうタイトルだったのか、なぜその記事に興味を持ったのかなどの視点をもつことができたのです(市川様)
どのような企業に「ネタもと」を勧めたいか
BtoB企業は、伴走型の広報支援を活用することで飛躍すると思います。弊社のようなBtoB企業にとって、広報活動は大きなチャレンジです。BtoC企業と比べるとネタ出しや話題作りのハードルが格段に高く、そもそも「BtoB企業に広報は必要なのか」という疑問の声すら社内にあると思います。
しかし、時代の変化は急速です。かつてのようなアナログな商習慣だけでは、もはや通用しない時代になっています。企業の信頼性を築き、持続的な事業展開を実現するためには、自ら積極的に情報を発信していく必要があります。
とはいえスキルも経験値もないまま広報PRを始めると、思考や行動は偏ってしまいます。浅い知識のまま思考を凝らしても、狭い視野にすぎないのです。だからこそ、専門的な伴走型の支援に頼るべきだと考えています。
自分一人ではつい目の前の業務に追われ、広報活動が後回しになりがちですが、ネタもとの存在は良い意味でプレッシャーとなり、計画的な活動を続ける原動力となりました。
弊社はネタもとを導入したことで、広報活動の立ち上げから継続的な業務への落とし込みまで、効率的に進めることができました。これは企業の長期的な成長と信頼性構築への、確実な投資になるはずです(市川様)
今後のさらなる目標
「父が築き上げたこの会社を、次の世代へと継承していきたい」この想い一心です。父から経営を引き継いだ私にとって、企業としての在り方を明確に示すことは最重要課題でした。
父の想いや経営哲学は、今も私たちの心中に脈々と受け継がれています。「サギサカとは何か」という問いに、胸を張って答えられるようになりたい。そのために、広報PRを始めました。会社を持続的に発展させ、次世代へと引き継いでいくために、企業としての姿勢や価値観を明確に発信していく必要性を強く感じています。
弊社は今後、ユーザーや販売店にとって真に存在意義のある企業として認知されたいと考えています。現状は、まだ商品や会社の認知度は低く、特に一般の方々への訴求力は弱いと感じています。伝えきれていない弊社の価値を掘り起こし、「自転車=サギサカ」のイメージを確固たるものにしていきたいです(匂坂様)

私は広報PRの取り組みを通じて、企業としての信頼性を向上させたいと考えています。さらに広報活動を進める中で、新たな事業領域が見えてくる可能性もあります。そういう意味でも戦略的な情報発信は非常に重要だと感じています。
広報活動における目標は、単なる認知度向上にとどまりません。ステークホルダーの皆様に、サギサカという企業の本質的な価値を理解していただくことがゴールです。そしてその価値を高めながら、次世代へと引き継いでいくこと。それこそが、弊社の目指す真の姿なのです。
創業者から受け継いだ経営理念と、現代のビジネス環境に適応した広報PRという新しい価値創造。この二つを両立させながら、私たちの想いと取り組みをより多くの方々に伝えていきたいと考えています(市川様)
「ネタもと導入前は、広報活動は一切やっていませんでした」と語ってくださった匂坂様。売り場に商品を並べるだけでは売れない時代になったことから、まだ見ぬお客様や求職者へ企業価値を発信していくために「広報PR」に着手。
数あるサービスの中から「広報のノウハウを1から学べる環境やコンテンツが整っているから」という理由でネタもとを選んでくださり、この1年間で着実に自社内にPRノウハウを蓄積されているようです。
お忙しい中、快くインタビューにご協力くださった、匂坂様、市川様、本当にありがとうございました。
参考:株式会社サギサカ様:80名 (2024年12月現在)