若手の採用に悩んだ水産卸売の老舗
自社の「普通ではない」魅力を発信し続け
露出連鎖とインナーブランディングに成功!
創業から90余年、大阪府を拠点に水産物の製造・販売を手がける老舗、株式会社三恒
「魚のある食卓を次世代へつなぐ」という理念のもと、日本の食文化の継承にも積極的に取り組んでいる企業です。
今回は、ネタもと導入から2年目を迎え、経営者自ら広報PRを重要し組織として広報に取り組み着実に成果をあげている、株式会社三恒 代表取締役 三上 正剛 様、広報担当 泉 理映子 様にお話を伺いました。
「ネタもと」導入前の経営課題や悩み
当社の経営課題は、若手の採用です。離職率が高いわけでもなく、勤続年数の長い社員が多い安定した職場環境ではありましたが、卸事業部門での若手採用を強化したいと考えていました。30〜50代に比べ20代の社員は2名と少なく、世代バランスが偏っている状況でした。
そのため今いる20代社員の仲間となる若手を採用し、社員一人ひとりの成長とともに会社としても成長していきたいという思いから、世代バランスを整えていきたいと考えていました。しかし、卸売業という業種柄、深夜帯の勤務時間がネックとなり、採用広告を出しても応募が集まりにくい状況が続いていました。もう一つの課題は、事業拡大の難しさです。売上を上げること自体はそれほど難しくはありませんが、売上が上がっても利益や収益が同じように上がるわけではありません。私が事業を引き継いだ25年前は多くの借金を抱えており、財務的な苦しさもありました。
しかし、事業拡大という意味で会社が成長しなければ、社員の業務もポジションもずっと変わらないままになってしまいます。社員一人ひとりを幸せにし成長させるためにも、会社自体が成長し続けなければならないと感じていました。売上で一番になりたいというよりも、会社の総合的な魅力で一番になりたい。社員が誇りとやりがいを持って働ける会社であることを目標に掲げ、そこを目指しておりました(三上様)

「ネタもと」導入前の広報PR活動状況
これまで広報活動はほとんど行っていませんでした。専任の広報担当者もおらず、私自身も広報の定義を十分に理解していなかったこともあり、社内外ともに特に発信もしていませんでした。
強いて言えば、私がFacebookへ投稿する程度でしたが、内容は日記のようなもので、広報活動と呼べるようなものではありませんでした。
他にも、今まで何度かテレビやラジオに出演させてもらったことはありましたが、それきりで、その後メディアと連絡を取ることもなく、そのままになっていました。
社内の文化として、以前から社員の家族を招待した懇親会を年に1回開催するなど、家族ぐるみのイベントを大切にしてきましたが、広報活動という概念がなかったため、そうした取り組みをメディアへ発信することは一切ありませんでした。唯一の情報発信として、8年前に通販事業を始めた際にプレス発表を行った程度でした(三上様)
「広報PR活動」を重視するに至った理由
経営者コミュニティの仲間でもある、株式会社ダイキチの代表からネタもとをご紹介いただいたことでした。ネタもとのサービスの一つである『経営者向けプログラム』(経営者のためのメディアセミナー・交流会)を初めて大阪で開催するということで、既にネタもとと契約していた株式会社ダイキチの代表の知り合い枠として新規参加できることになり、参加に先立ちネタもとの担当者と話をする機会をいただきました。
また、ちょうどそのタイミングで、もともと卸事業部門の若手人材確保のために契約していた転職サービスの担当者から、会社のリクルートページを作り直した方がいいとアドバイスをいただき、専門の方に依頼してページをリニューアルしました。そのリニューアルしたページを見て、広報担当として泉が応募してきたのです。広報採用の予定はありませんでしたが、泉の応募とネタもととの出会いが同じタイミングで重なり、この流れは何かのご縁だと感じ、広報PRに取り組もうと決意しました。
さらに、広報活動を通じて通販の売上拡大にもつながればと考えていました。通販・EC事業部では人材募集をしたところ人数がぐっと増え、動画制作やCanvaを使えるなど、さまざまなスキルを持つパートの方々が集まっていたので、そのメンバーの力を借りながら広報活動によって売上を伸ばしていけたらと考えていました。Web広告に関しては、通販事業に力を入れていることもあり、広告費として毎年、売上全体の10〜12%を投入しています。また、広報活動はこれまでやってきたことを見える化し、形に残す作業でもあるので、それがきちんと会社の歴史として積み重なっていくという意味でも、大切な取り組みだと感じたことも理由です。年月が経つと、どうしても記憶は薄れていくからです(三上様)
数あるPR支援の中で「ネタもと」を選んだ理由
ネタもとを知ったきっかけは、株式会社ダイキチの代表からのご紹介でしたが、広報担当として泉が応募してきたタイミングとも重なり、こうした流れの中に「縁」を感じたことが、契約を決めた大きな理由です。
信頼する知人からの紹介ということやご縁を感じたこと、私が比較が苦手なこともあり、他社サービスとの比較検討は行わずにネタもとと契約しました。
特にネタもとのサービスの一つである『広報活動診断』が魅力的だと感じました。企業の広報力を100以上の指標で数値化し、自走化(内製化)の進捗を測る独自の評価システムで、広報活動の進捗や成果を可視化できるため、経営者として足りない部分を客観的に意識するきっかけになると感じました。やるべきことが項目として明確に示されているので、取り組みやすい点も良いと思いました(三上様)
「ネタもと」を利用し得られた成果
ネタもとを利用し始めてからメディアからの取材が格段に増えました。水産庁からも話を聞きたいと声をかけていただくなど、あるメディアに出たことで別のメディアが「取材をさせてほしい」と連絡をくれて、またそれを見た別のメディアが…という連鎖が生まれています。
また、地元での認知度も上がったことを実感しています。それぞれ見ている媒体が違うからか、仕事に関係ない知り合いや通販のお客様、仕入れ先など、さまざまな方から「そういえばこの間、どこそこに出ていたね」と声をかけていただくことが増えました。
特に大阪市中央卸売市場本場で毎月開催されている一般向けイベント「ざこばの朝市」を知ってくださる方が増えてきたと感じます。朝早いラジオ番組に出演した際も、地域の方々から「聴いたよ」と声をかけていただくことが多く、あんなに早い時間の番組でも、意外と多くの人が聴いているのだなと実感しました。また、地域密着型のケーブルテレビに出演した際も、周囲からの反響が大きく、とても嬉しかったです。さらに、大阪市中央卸売市場の中でも「取材慣れしているから、三上さんが前に出て語ってくれ」と頼られる場面が増え、中央市場としての意見を伝えたり、外部からのヒアリングに出ておいてなどと言われて、対応をさせていただいています。広報活動を通じて、業界内での信頼も高まりつつあります。
他には、取材や取引の際、相手は必ずホームページを事前に確認していることを感じています。会社の考えや取り組みを事前に読んでいただいているため、話がスムーズに進むようになりました。さらにメディアへの掲載情報がホームページに掲載されていることで、より信頼度が高まっていると感じています。

食育パーク「ざこばの朝市」 in 大阪・関西万博EXPO2025
それから、近畿大学の学生サークルからも取材を受けました。掲載メディアを見て訪問されたのか、ホームページを検索して見つけてくださったのかは定かではありませんが、「水産業に就くお父さん」という学生ならではの視点で取材していただきました。水産の卸売業ならではの、早朝から昼までという業務時間だからこそ、子ども3人を育てながら毎日キャッチボールや食事を共にし、長女の習い事にも一緒に通ってきた三上社長の姿を、記事にしていただきました。こうした広報活動を通じて、自分たちでは気づかなかった角度から会社の魅力を発信していただく機会にもつながっています。
広報活動を通じて、社内にも変化が生まれました。ネタもとの『広報活動診断』の質問項目をきっかけに、会社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を整理・作成することができました。また、就業規則の見直しや福利厚生の充実といった社内整備の必要性にも気づくことができました。社内に向けても情報発信を続けることで、社員の福利厚生への関心も高まり、社内のコミュニケーションにも良い影響が出ています。
当社の経営課題である若手採用については、まだ明確な成果には至っていませんが、取引先から「息子をぜひ御社で働かせてほしい」というお声をいただくことがありました。縁故によるご紹介ではありますが、「ここで働きたい」と思っていただけていることは、広報活動の手応えを感じる出来事のひとつです(三上様)
具体的に取り組んだこと
食品の卸メーカーという業種柄、ピンポイントで合致するメディアは多くありませんでした。そのため、対象メディアの幅を広げ、「当社の場合はどう当てはめられるか」と柔軟に考えながらアプローチしていきました。各メディアのサイトをよく読み、合うかどうかを判断し、適したところには積極的に働きかけました。メディアに直接アプローチできるネタもとの機能『リサーチ』には、月に10本ほど地道にエントリーを繰り返していきました。
また、ネタもとの担当者との定例ミーティングで話題になりそうなネタをピックアップし、そのネタに沿って社長インタビューや外国人採用の話など、「こういうことができます」と示せる情報を積み重ねてエントリーし続けた結果、マッチングにつながっています。
エントリーの際には、自社の特徴を客観的に見直し、「普通ではないところ」を誇張せずにアピールすることを意識しました。さらに、ネタもとが開催する『メディア交流会』にも参加し、参加メディアのリストをもとに、読売新聞など名の知れたメディアにも繰り返しプレスリリースを送るなど、幅広くアプローチを続けました。一方で、『メディア交流会』では順番が回ってこず、2〜3社としか話せないこともありました。また、食品の卸メーカーという業種柄、アプローチできるメディアの幅が限られており、「なかなか結果が追いつかない」と感じることもありました(三上様)
ネタもと独自の「広報活動診断」
ネタもとでは、定期的に独自の「広報活動診断」を実施し、お客様の「自走化状況」を可視化・数値化することで、成果が見えづらい広報活動の「効果検証」を可能にし、自走化実現までの道のりをしっかりとサポートしています。
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・いたジャン!(フジテレビ)
・銀シャリ橋本の〇〇WORLD(まるまる わーるど)(eo光チャンネル)
・週刊大阪日日新聞
・BizHint
・わたしの決断物語
・カワコレメディア
・ENCOUNT
・Yahoo!ニュース
・めりぃさん
・Voyage
・Hint-Pot
・上泉雄一のええなぁ!(MBSラジオ)
・くにまる食堂(文化放送)
・大竹まこと ゴールデンラジオ!(文化放送)
掲載されるために工夫したこと
自社の「普通じゃないところ」を誇張なく面白く見せることを心がけました。『リサーチ』でのネタ募集に対して、自社の内容をそのまま加工もせずに書くだけでは、なかなかマッチングすることは難しいと思います。そこまで日常に面白いネタはないと思ってしまいがちなところを、誇張のない範囲で「自社のここが面白い、ここが他とは違う」と普通じゃないところを積極的にアピールすることを意識しました。
他にも『メディア交流会』後のリストを活用して、会えなかったメディアにも繰り返しプレスリリースを送り続けました。『メディア交流会』には1回だけ参加しましたが、2〜3人しか話せず、メディアが募集しているネタと自社がアピールしたい内容が合致しなくて、玉砕した気持ちでした。ただ、交流会後に参加メディアのリストをいただけるため、当日お会いできなかったメディアや知らなかったメディアにも何度もプレスリリースを送り続けました。
テレビ局にも、とにかくガンガン連絡するなど、営業活動のような感覚で取り組んでいます。 マッチング成立後にすかさず次のネタを提案し、関係を継続させたことも良かったと思います。マッチングが成立した際に「こういうネタもあるのですがいかがですか」と他の情報も提案をするようにしていました。こうした積み重ねが実際に一度マッチングしたメディアの担当者と親しくなり「また別のネタをお願いします」と言っていただけるケースに繋がっていると感じます。昨年は一つのネタが採用された後にさらに2つのネタが採用されるなど、露出がどんどん広がっています(泉様)
一方で、食品会社という業種柄、毎日の業務に大きな変化がなく、メディアへ提案するネタをどう工夫するかは難しいと感じることもあります。一度採用されたネタは同じメディアには使えないため、次も同じネタになってしまうしなと思ったりもします。そこを工夫できるよう、ネタもとの担当者に相談しながら引き続き取り組んでいきたいと思っています(三上様)
どのような企業に「広報PR」や「ネタもと」を勧めたいか
広報活動をお勧めしたい企業は、まずは財務体質がしっかりしている企業です。安定した土台を持ちながらも、何か新しい風を取り入れたいと感じている企業にとって、広報は変化への突破口になります。拡大してやろうという気概があるところが向いていると思います。
また、歴史のある企業はPRするネタもたくさんありますし、長年続けてきたノウハウや豊富な商品ラインナップをしっかりアピールできると思います。
他には、BtoBの企業でも、素晴らしい技術を持っていても外への伝え方がわからないとか、情報発信の必要性を感じていなかったような企業こそ、一度広報活動をやってみると重要性がよくわかると思います。 私自身、以前は広報という概念自体もよく理解していませんでした。しかしネタもとを通じて広報活動に取り組んでいくうちに、その重要性や価値を実感しました。
取材を受けるたびに「社員と共有していますか」「何を目的にしていますか」という質問が来るので、それについて考える時間が自然と増えていきます。メディアが興味を持って取り上げるということは、社会として価値があるということですから、当社の存在価値や目的が徐々に明確になっていきました。
また、広報活動はインナーブランディングの側面もあり、社員へのヒアリングを通じて社内コミュニケーションも活性化されます。話を聞かれることで担当社員のモチベーションにもなりますし、メディアに掲載されれば売上向上にもつながるという、ダブルの効果も期待できます(三上様)
広報活動は、ある程度決まっているやり方ではあるので、商品などがいろいろ揃っている方が、ネタも出しやすいですしメディアさんもいいなと思うのではないでしょうか。ゼロから広報をスタートするのであれば、ある程度発信するものが揃っている方がやりやすいのではないかと思います(泉様)
今後のさらなる目標
私たちはBtoBの仕事がメインなので、今は卸売りの仕事をしていますが、今後は生産加工品だけでなく、鮮魚や活魚などの取り扱い商品をどんどん横展開的に増やしていきたいと思っています。魚に関する総合的な会社にしたいということです。
お魚の食べ方やおいしさを伝える機会が、スーパーなどでも年々減ってきているので、逆にそれをセールスプロモーションの機会と捉えて、販促品と共に食べ方などの情報提供をするようなこともやっていきたいです。
それ以外にも、BtoCの通販事業も頑張っているので、このウエイトをもう少し伸ばしていきたいですね。産地にはたくさん美味しい魚や食べ物があって、それらを美味しくする技術もあるんですが、そこを評価してくれるところがどんどんなくなってきています。ですからBtoCの通販事業を通じて、こだわって作られている美味しい魚や水産加工品の販促をすることで、産地をしっかり応援できるような企業になっていきたいと思っています。
当社の初代は干物屋さんだったのですが、干物も年々売れなくなっています。干物などを焼いて出すような場を提供できたらなと思っていて、販売だけでなく目の前で提供できる場が作れたらということを考えています。あとは中央卸市場で一番を目指してやっていきたいなと思っています。
広報活動をちゃんとやって、働きたいと感じてくれる人が増えるのを期待しています。卸部門はどうしても働く時間が深夜になってしまうのでネックではありますが、急いで採用するよりじっくり見極めて進めたいですね。若い人がいっぱい入って野球チームを作りたいです(三上様)

以上、今回ご紹介した株式会社三恒様は、深夜勤務に起因する若手採用難や、情報発信の不在という老舗特有の課題を抱えていましたが、自社の独自性を客観的に捉え直した発信を地道に継続した結果、メディア露出の連鎖を生み、業界内での信頼や地域での認知を格段に高めることに成功しました。
この成功事例で特筆すべきは、同社の取り組みが、社内環境の整備や理念の再構築といったインナーブランディングにも寄与した点です。独自の強みを持ちながらも発信に課題を抱えるBtoB企業や、組織改革の突破口を模索する企業は、ぜひ本事例をヒントにしてみてください。
お忙しい中、取材にご協力いただきました、三上様、泉様、貴重なお話をありがとうございました。
参考:株式会社三恒 様:40名(2026年3月現在)
