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”つまもの”に新たなイメージを浸透させたい

”つまもの”に新たなイメージを浸透させたい

生産者とお客様を交えた会話の機会が
以前より減ってしまったタイミングで
認知拡大に「広報PR」という手法があると知り着手

代表理事組合長 富永 諭司様(左)/営農販売課 加古 亘様(右)

昭和4年に「豊橋温室園芸組合」として設立し、令和元年に90周年を迎えた、 豊橋温室園芸農業協同組合

温室園芸の販売専門農協のパイオニアとして設立された全国でもユニークな組合で、現在は、組合員のほとんど全員が専業で「つまもの」を周年栽培し、全国一のシェアを誇る「つまもの」販売を行っています。

今回は、昨年12月にネタもとを導入、半世紀を越える伝統を守りつつ、常に新しい品目にチャレンジし、安全・安心な商品の提供と安定供給を目指す、豊橋温室園芸農業協同組合 代表理事組合長 富永 諭司様、営農販売課 加古 亘様にお話を伺いました。

ネタもと導入前の課題や悩み

私たちは、温室園芸の販売専門農協のパイオニアとして、現在では、組合員のほとんど全員が専業で「つまもの」を周年栽培し、全国一のシェアを誇る「つまもの」販売を行っています。

当初は鉢物の栽培、販売からスタートし、現在は大葉、菊花、菊葉、花穂・穂じそ、ハーブ、エディブルフラワー、ベルローズの生産を中心に、個撰と称する少数の人数で栽培する品目も生産しています。

ユニークな品目を扱っているものの、やはりまだまだ需要が少なく、一番は生産物を販売する先のお客様の繋がりを広げたいという思いがありました。供給はあるのですが、末端にいらっしゃる方々まで取り込み、販売先を拡大したいというのが当初の課題の1つでした(富永様)

もう1つは、我々が扱うつまもののイメージについてです。つまものというと、何か料理の一部として使われる、ただ添えられているものというイメージをお持ちの方が多いと思います。

ですが、我々は消費者の皆様にもっと多くのつまものを知っていただき、主役料理に混ぜたような形で美味しく食べてもらったり、主役の一部としてなくてはならない存在になったらいいなという思いがありますので、すでに皆様の中にあるつまもののイメージをどのように変え、新たなイメージを浸透させていけばいいのかを課題に感じていました(加古様)

ネタもと導入前の「広報PR活動」状況

ネタもと契約前から、我々の拠点である愛知県や豊橋市などとは連携して様々なイベントにも参加していました。たとえば愛知県でいうと、農産物の展示会に参加したり、お取引のあるスーパーや百貨店などの食料品売り場で、お客様に対し生産者も交えて直接販売するということを行っていました。

実際に我々の大葉ジュースを飲んでもらったり、大葉チヂミを食べてもらいながら、お客様と会話をしながら大葉の大量消費を狙った消費宣伝を行っていました。

情報発信に関する資料も、卸している市場の方や消費者には直接お届けできるパンフレットを作ることはありましたが、あくまで直接関わりのあるユーザーの方々向けのもので、メディアに対してプレスリリースを書いたり発信したりすることはありませんでした(富永様)

元々組合と部会で広報が分かれており、SNSの運用は、花穂部会・小菊部会・エディブルフラワー部会など一部の部会では、Instagramを運用していたり、組合では私がYouTubeを動かしたりしていましたが、組合の広報は2年前くらいから基本は私1人で行っていました(加古様)

取り扱っている小菊や大葉など多種多様な「つまもの」

広報PR活動を重視するに至った理由

直接お客様とお話ししながらの宣伝活動を行っていたものの、近年はコロナ禍もあり、以前よりもそういった生産者とお客様を交えた会話をする機会も減ってきて、うまく活動できずにいたところ、お客様の認知拡大においては広報PRという手法もあるということを知り、興味を持ったことがきっかけです。

実は12、3年くらい前に、たまたまテレビで大葉を取り上げてもらったことがあるんです。当時は健康番組なども流行っていて、大葉は体にいいということもあり、一度ある番組で放送され、その映像を見た各テレビ局から取材依頼が殺到し、大変多くのメディアに出させていただきました。

その際、豊橋市が大葉の生産量・出荷量も日本一ということで、「とよおんの大葉」という名前をうまくPRできたと思うのですが、今回は大葉だけでなく、その他のつまものも含めバラエティ豊かな品目それぞれをPRできたらと思いました(富永様)

ネタもとを選んだ理由

以前は、こちらから情報発信せずとも待っていれば取材してもらえていましたが、今は昔とは違い、いざ、PRしようと思っても、何をどのようにしたらいいのか分からずにいたところ、偶然ネタもとから提案をもらい、改めて自分たちでしっかり情報発信していかなければいけないと思わされました(富永様)

広報活動という宣伝活動はしていたものの、プレスリリースを作ったり、PRに関する専門的な知識や技術を持っている人間は少なく、そもそもメディアに対する情報発信やアプローチの仕方もよく分からなかった我々が、ネタもとを利用することで、PRの知識やノウハウ、メディアとの接点といった必要な部分を得ることができ、内製化していけることに資産価値が高いと判断しました。

私は元々前職で映像を作って届けることを専門に行っていましたので、そもそも情報発信の重要性というのは理解していましたし、私がこの組合に入った際、これからはYouTubeやオウンドメディアを動かしていきたいということを理事から聞いていましたので、「それであれば、ぜひ」と広報担当として立候補させていただきました(加古様)

広報PR活動で取り組んだこと・工夫したこと

出発点としては、初めてのサクセスミーティングで、ネタもとの本村社長から、「PRに記念日が使える」という話が出ましたので、すぐに日本記念日協会に申請し、「よ(4)い(1)つ(2)まものの日」と語呂合わせをし、4月12日を「豊橋「つまもの」の日」として制定したことが大きいです(富永様)

担当者としては、まず広報を知ることから始めましたので、ネタもとサイトにある動画を見て、プレスリリースの書き方から学びましたし、メディアの方に興味を持ってもらえる内容(新規性や時事性)やキーワードも意識して取り入れるように工夫しました。

一度書いて終わりではなく、継続してプレスリリースや「リサーチ」を書き続け、試行錯誤した結果、メディアに取り上げていただけたのかなと自負しています。

情報発信する際に一番気にしている点は、タイトルです。メールであれば「開きたい」、プレスリリースであれば「読んでみたい」と思ってもらえるようなタイトルにしなければいけませので、具体的な数字を記載したり、日本一というインパクトのあるキーワードを使ってみたり、「何だろう、気になる」と思ってもらえるように、知られざる○○といった文言を使い、興味を引くような内容を入れるなど、色々試しながら取り組んでいます(加古様)

「メディアとの接点」における成果

以前、複数のテレビ番組に取り上げていただいた際のイメージが強かったので、自分たちから積極的に発信していかなければいけないという発想がなく、その時に取材に来ていただいたメディアの方とも、その場の一度きりの関係で終わってしまっていましたので、メディアリストはほぼ「0」でした(富永様)

今は「メディア交流会」に参加し、約70名ほどのメディアリストは溜まっています(加古様)

また、先ほども話に出ましたが、ネタもとからPRネタとして「記念日を作れる」と提案いただいたことが大きいと思っており、「豊橋「つまもの」の日」という記念日を制定したおかげで、今年4月に「つまものフェア」というイベントを開催することができました。

そのイベントで愛知県の副知事にも会いに行き、「豊橋「つまもの」の日」をPRするなど、県や市にも訴えかけられる場ができましたし、県庁に行った際、様々なメディアの方がいらっしゃって、実際私たちも地元の新聞社に取材していただいたり、その他のメディアにも掲載してもらえたりと、とてもいい形でアピールができ、大成功に終わりました。

イベントは、この1回に限らず、今後も、毎年行う恒例行事にしようという方向で進めており、大きな成果を感じています(富永様)

日本記念日協会に申請し、4月12日は「豊橋「つまもの」の日」に制定

「PRのノウハウ」における成果

ネタもと会員向けサイトに上がっている「勉強会動画」は、ほとんど全て視聴しました。「メディアセミナー」、ネタもと担当者とのミーティングからも、1つひとつPRのノウハウを学んだことで「PR活動診断」の点数も、10.5点から29.5点に上がりました。発信するネタも、次々に考えられるようになりました。

たとえば、お刺身で出てくる菊の花にも、実は、食べ方がきちんとあって、花びらを摘まんでお刺身の醤油に散らして、彩りと歯ごたえを楽しむというのが正式な食べ方なのですが、それを知っている方は極わずかですよね。

また、お刺身のツマで使われるものが一般的ですが、色鮮やかなためチョコレートと一緒に彩りとして使われることもあります。

そういった、我々は知っていますが、世間の皆様が知らないことをネタの1つとして発信してもいいなと思いますし、夏場に使える大葉料理のレシピや、読者プレゼントとして大葉や紫蘇を使った加工品なども発信できたら面白いなと思ったり、広報PR活動を始めたことで、組合の中でも色々な意見が積極的に出るようになりました(加古様)

「ヒト(広報担当)育成」における成果

多くの企業とメディアが集まる「メディア交流会」では、ネタもとから事前に送っていただいた情報の中に、参加予定の媒体名と探されているテーマが一覧で書かれています。それを見て、弊社の事業内容や取り組みと合致しているメディアと当日有意義なお話ができるよう準備を進めました。

当日は3分という限られた時間になりますので、まずは簡単に弊社の紹介を行い、弊社の特徴的な部分を主にお話しさせていただきました。

皆様ご存じの通り、農家の平均年齢は高いのですが、我々は20代30代の比較的若い生産者が多いです。そういった他社とは異なる点や、つまもののシェア数が全国一など差別化ポイントをお話しし、後日お礼メールに工場の動画なども一緒にお送りしたところ、興味を持っていただき、取材に繋がりました。

簡潔に話すスキルが「メディア交流会」で身に付きましたし、我々のことを知らない方々にどのように説明したら伝わるか、何をポイントに伝えたら面白いと思ってもらえるかということは、常に意識して考えるようになりました(加古様)

ネタもと独自の「PR活動診断」

ネタもとでは、定期的に独自の「PR活動診断」を実施し、お客様の「自走化状況」を可視化・数値化することで、成果が見えづらい広報活動の「効果検証」を可能にし、自走化実現までの道のりをしっかりとサポートしています。

初回結果「10.5点」
直近「29.5点」

これまでに掲載された主な媒体名

・東愛知新聞
・中日新聞
・農経新聞
・日本農業新聞
・NHK名古屋
・[ティーズ]HOTステーション
・いこーよニュース
・地域ニュースサイト号外NET
・東三河ポータルサイト ほの国

※約半年間で掲載された媒体

掲載されるために工夫したこと

PRを始めた当初は、メディアの方が何に興味を持つのかがまだよく分からなかったので、実際に新聞や雑誌、テレビなどを一通り見て分析するようにしましたね。見ていると、「この企業は今のトレンドに合致しているから取り上げられたんだ」「この人はこういった点がユニークだから取り上げられたんだ」「この写真やキーワードが興味を持たれたんだ」など、メディアが求める情報が段々と分かるようになるので、そこから自分たちであればどうやってアプローチしたらいいのかを考えて、プレスリリースを書いたり「リサーチ」にエントリーしたり、情報発信をするように意識しました(加古様)

自社が出したプレスリリースからはもちろん、イベントで協力いただいた企業・団体、関係者を経由して問い合わせをいただくこともあります。先日も、全国区のテレビ番組の方から、豊橋市でロケをする際に「小菊の食べ方を30秒程紹介したい」という内容で問い合わせをいただきましたので、何事もどんな場面でも積極的に発信していくことが大切だと思います(富永様)

どのような企業に「ネタもと」を勧めたいか

広報活動を行おうと考えている方はもちろん、広報PRはやったことがなくても、広報PRで解決できる課題をお持ちの方であれば企業・団体問わず、まずやってみることが大切かなと思います(加古様)

それで言うと、広報PRに関する意識をお持ちでない方は、まだまだたくさんいると思っています。我々の周りにも、商品・サービスは一生懸命作っていて、とてもいい商品・サービスを持ってはいるものの「それをどうやって売っていこう」「どうやって世の中に知ってもらおうか」という部分が明確でない方が多いです。

最近、同じ豊橋市のうなぎ屋の方に、こちらが飛び込みで電話をかけ、「我々の大葉と一緒にタッグを組みませんか」とお話をしたところ、あちらも、豊橋うなぎを多くの方に知って欲しいと思っていたものの、そのやり方が分からずできていなかった、困っていたようなので、「我々も頑張りますから、ぜひ協力しましょう」と一緒にPRの話を進めている段階です。

ですので、以前の我々もそうでしたが、何をどうしたらいいのか分からない方たちが、実はたくさんいるのではないかと思いました。そんな方たちは、ぜひ候補の1つとして、広報PRという選択肢も覚えておくといいと思います(富永様)

最新技術を取り入れたロボットで大葉がパッキングされる様子

今後のさらなる目標

今後の展開として、大葉を食べることによって、食を満たす以外の有益なこともあるということをより多くの方に知っていただき、今までとは異なる層を獲得したいという思いがあります(加古様)

大葉には美肌効果があり、美肌クリームなども発売されていますし、それ以外にも、花粉症の予防や老化を防ぐための血液サラサラの効果も成分として研究発表されているのですが、あまり知られていないですよね(富永様)

実は今、料理研究家の方に、薬膳料理として大葉を使った料理をお願いしておりまして、効果効能も含めた大葉レシピ集を作ってもらう予定です。内容がまとまったら、プレスリリースにして、メディアの方にも情報発信していこうと思いますが、そういった今までとは異なる着眼点で、より多くの方に大葉を始めとした「つまもの食材」を知っていただき、広く興味を持っていただけるよう活動していきたいです(加古様)

また、豊橋温室園芸農業協同組合は、生産者が運営する組合であることが大きな特徴です。これまで、生産品目ごとに生産者が団結し、部会を設立することで、販売の組織化・効率化を図り、販売の拡大に大きく貢献してきました。

我々が扱うつまもの自体は、いきなり主役にはならなくても、皆様が料理を作る一部として必要だと思ってもらえたり、好きな料理の名脇役として、多くの方に存在を知ってもらえたらいいなと思います。それが叶えば我々も嬉しいので、そのためにも今後も引き続き活発なPR活動を行い、関わる生産者皆が生き生きとした生活が送れるような組合にしていけたらと思います(富永様)

今回、富永組合長様が語ってくださったように、「認知拡大において広報PRという手法もある」ということや、広報PR活動なら自社の魅力を、商品・サービスなどの「プロダクトPR」以外の方法で発信できることは、まだまだ世の中に知れ渡っていないのが現状です。

今回の成功事例は、広報PR活動を「経営戦略」の1つとして認識されていない経営者の方にとっては、非常に参考になったのではないでしょうか。

お忙しい中、快く取材に応じてくださった、富永 組合長様、加古様、貴重なお話を本当にありがとうございました。

参考:豊橋温室園芸農業協同組合様 組合員数:220名(2024年6月現在)


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