BtoB企業がBtoC市場進出に向け「広報PR」に初挑戦!
費用対効果が見込めない「広告」に終止符を打ち
ブランド強化と社内の連携強化に見事成功

1954年の創業以来、シリカゲル乾燥剤関連商品を中心に事業を展開し、顧客の多様なニーズに応え続けてきた、山仁薬品株式会社。
湿気の多い日本の気候下での品質保持の課題を解決するため、アメリカから上陸すると聞いたシリカゲルの販売権を西日本で初めて取得。1977年に販売された「ドライヤーン®タブレット」は、長期にわたり開発された錠剤型シリカゲル乾燥剤で、医薬品業界を中心に利用されています。
今回は、ネタもと導入から2年目となる、山仁薬品株式会社 代表取締役 関谷 康子 様、経営推進部 平木 佳代 様に、なぜ広報PRに着手することになったのか、また広報活動で得られた成果についてなど詳しくお聞きしました。
ネタもと導入前の課題や悩み
弊社はこれまで、製薬メーカーをターゲットにしたBtoB営業を中心に、長年実績を積み上げてきました。しかし、新たな事業展開としてBtoC市場への進出を決断した際、これまでにない大きな挑戦とともに課題が浮き彫りとなりました。
BtoC市場への新商品「調味料専用乾燥剤 カタマラーーン」の販売においては、流通経路やアプローチ方法が従来のBtoBとは大きく異なり、その準備が整っていない状態だったのです。そのため、「どこから手を付ければよいのか分からない」という状況に陥りました(平木様)
BtoC市場への挑戦は以前から構想されていましたが、新型コロナウイルスの影響が計画を本格化させるきっかけとなりました。インバウンド需要の減少により、ドラッグストアでのBtoB向け製品の流通が低下し、業績に影響が出始めたのです。この状況下で、既存の事業に依存するリスクを痛感し、新たな事業を確立する必要があると考えたのです。
その中で生まれたのが、調味料の固まりを防ぐ新商品「調味料専用乾燥剤 カタマラーーン」です。この商品は私自身の日常生活での困りごとに着想を得て開発されました。多くの方に「便利だ」と思っていただける商品ですが、それを実現するためには、まず商品の存在自体を広く知っていただく必要がありました(関谷様)
しかしながら、BtoC市場に進出するための販路やパイプは全く持ち合わせておらず、また取引先であるBtoB向け商社も一般消費者向けのルートには限りがありました。BtoC市場を開拓するための方法をゼロから模索する必要があったのです。さらに、広告費を十分にかける余裕もなかったため、限られたリソースの中で、コストを抑えながら効果的な方法を見つけることが求められました(平木様)

ネタもと導入前の「広報PR活動」状態
広報という言葉自体、弊社には馴染みがなく、社内に広報部署は存在していませんでした。「広報って何をするの?」という認識で、具体的な活動や体制は全く整っておらず、私自身も広報について考えたことがありませんでした(関谷様)
社内には広報の専門知識を持つ人材はおらず、情報発信の方法も確立されていませんでした。BtoBのビジネスモデルに慣れていたため、メディアとの関係構築やプレスリリースの作成といった広報活動の具体的なイメージも持てず、手探りの状態でのスタートでした。
新商品を広める手段として、新聞広告を試したこともありましたが、1枠に数十万円をかけても、成果として得られるのは数件の受注で、費用対効果が見込めず継続はできませんでした。
また、新聞広告は一方的な情報発信になりがちで、消費者やメディアの反応や意見を把握することが難しいという課題もありました。BtoC市場においては、双方向的なコミュニケーションや、顧客とのエンゲージメントが重要になると感じていたため、一方的な広告では限界があると考えていました。
さらにBtoBの営業体制に慣れていた弊社は「メディアに自らアプローチをして情報を発信する」という発想すら知りませんでした。広報について調べていくなかで、自分たちからメディアに働きかけるという仕組みを知り「これなら自分にもできるのではないか」と感じました。
そこで「広報活動も一つの解決策ではないか」と思い立ち、社内体制は全く構築されていなかったものの、何とか一歩を踏み出そうとしました。ただ本格的に広報を始めるにあたって、社内にはノウハウや人的リソースが不足しており、このままでは前に進めないと感じました。そのため外部サービスの活用を視野に入れるようになり、最終的にネタもとを利用することとなりました(平木様)
広報PR活動を重視するに至った理由
広報PRに注力した大きな理由は、「広告費をかけずに多くの人に商品を知ってもらうきっかけを作りたかった」からです。これまでBtoB中心の事業を展開してきた中で、BtoCへ進出するには新たなアプローチが必要だと感じていました。
広告を使った情報発信は一度に多くの人へ届けられる手段ではありますが、弊社のような中小企業にとっては頻繁に利用できる予算はありません。経費のメインを開発に使っているなかで「限られたリソースで何ができるか」を模索する必要がありました。その中で広報PRという手法は、自分たちが主体となって動きながら低コストで実現できる方法として「これなら自分でできる」と感じました。
また、メディアを通じて情報を発信することで、単なる広告ではなく、信頼性を持って商品や企業を知ってもらえる点も理由のひとつです。BtoBの事業を長年、手掛けてきた弊社にとって、BtoCでの市場開拓はゼロからのスタートです。
既存の販路や人脈も活かせず、認知も広がらない中で、「メディアに取り上げられることで広く世の中に価値を伝える」という広報PRの可能性は、BtoC進出を支える大事な手段であると考えました。広告に頼るのではなく、自ら動くことで新しい市場への一歩を踏み出せる。これが広報PRに注力する大きな理由でした(平木様)
ネタもとを選んだ理由
ネタもとを選んだ理由は「基礎を学びながら、広報活動を自分たちの手で進められる」ことです。広報についての知識が全くない中で、その世界を一から理解するのには時間がかかります。広報PRをどの会社に依頼すべきかを判断するのは非常に難しいと感じていました。
そこで、全てを外部に任せるのではなく、自分たちで主体的に取り組みながら進められるサービスを探していたのです。その中でネタもとは、メディアとの接点を持つためにアドバイスを得ながら、自分自身で広報PRを進めていける点が大きな魅力でした。
『リサーチ』は、ネタもとを選んだ理由の一つです。メディア側が求める情報や情報提供の切り口を具体的に把握でき、知識は浅くとも効率的に進められるため、広報業務を兼業する弊社の体制にマッチしていると思いました。
さらに、ネタもとのサービスは、伴走型支援であるため「はじめて」をサポートしてくれます。プレスリリースやメディアとのコミュニケーションの仕方、全てにおいて初めてを経験する弊社にとっては、サポートを受け「やりながら学ぶ」という形で徐々にスキルを身につけられる点は、広報PR初心者の弊社から見て魅力に感じました(平木様)
広報PR活動で取り組んだこと・工夫したこと
最初に取り組んだのは、商品を知ってもらうためのきっかけづくりです。乾燥剤という商品自体、日常的に使う習慣が一般的ではないため、便利さや価値を知っていただくための機会をいかに増やせるかが重要でした。どこでも手に取ってもらえるような商品ではないため「ただ新商品が出ました」という伝え方では難しいと感じ、商品の背景や便利さを積極的に訴えかけるアプローチでメディアとの接点を作り始めました。
そこで取り組んだのが、「リサーチ機能」を活用したメディア開拓です。媒体特性を知った上でのメディア選定や情報の整理方法を学び始めました。商品のどの情報がメディアに当てはまるのか、各媒体の特性を活かした商品の伝え方など検討しました。リストアップされたメディアに応じて情報の取捨選択を繰り返しました。
『リサーチ』を使うことで、アプローチ先の情報を事前に整理する時間が持てたのは大きな助けになりました。プレスリリースの書き方なども日々取り組む中で、メディアの特性やメディアに対する切り口を知り得たことで、下準備が軽減されました。また成功・失敗の傾向を分析しながら、実践的にアプローチ方法を改善していきました(平木様)
「メディアとの接点」における成果
ネタもとを活用し始めてから、メディアとの接点は飛躍的に増えました。導入前は、定期的に連絡をとるメディアは0件でしたが、今では約30件に、さらには読者プレゼントを含めると50件程度にまで拡大しました。特に読者プレゼントは大きな反響があり、商品の認知度向上につながりました。
ネタもとがきっかけで繋がりを持てたメディアに対しては、定期的に情報を提供することで「次の情報もお願いします」と言っていただけるようになりました。メディアとの接点が増加したことで「毎月1記事は掲載される」という成果を上げています。
掲載の頻度を維持するプレッシャーはありますが、掲載され続けることで「どこかで誰かが見てくれている」という信頼を積み重ねられると考えています。ブランド認知の土台づくりができてきたのではないかと思っています。継続的な情報発信は、メディアとの信頼関係を深め、結果として持続的な掲載に繋がるという好循環を生み出しています。
また、一度掲載していただいたメディアとは良好な関係を築くことができ、こちらから新しい情報を提供する際にもスムーズに受け入れていただけるようになりました(平木様)
「PRのノウハウ」における成果
ネタもとを活用する中で、広報PRのノウハウは着実に蓄積されていきました。ネタもとの『プログラム』や『オンライン講座』を通じて、基本的な知識やルールを体系的に学び、自信を持って対応するノウハウを培いました。特に、危機管理やメディア業界特有の慣習について深く理解を深めることで、予期せぬ状況にも柔軟に対応できる実践力が養われました。
プレスリリースの作成において、最初は試行錯誤を重ねましたが、ネタもと活用アドバイザーからアドバイスを受け、単に情報を羅列するのではなく、商品の背景や開発の経緯を効果的に盛り込む手法を学びました。その結果、より説得力のある情報発信ができるようになり、メディアから注目を集める機会が増えたと実感しています(平木様)
メディア視点での物事の捉え方や、読者の関心を引きつける伝え方に対しての理解が深まりました。自社が伝えたい内容にフォーカスするのではなく、メディアにとって魅力的なストーリーや読者が共感できる価値を意識して情報を整理するようになりました。メディアとの関係における配慮と洞察力の向上が、取り上げられやすい広報活動の実現に繋がったと思います(関谷様)
「ヒト(広報担当)育成」における成果
広報活動を始める前、社内では広報について理解されておらず「広報って何をするの?」という疑問すら向けられる状況で、広報の重要性やその役割が認識されていなかったのが実情でした。
しかし、ネタもとを通じた広報活動の実績が社内に共有されるようになると、少しずつ状況が変わっていきました。一つの媒体に掲載されるたびに、その成果を社内の掲示板やミーティングで共有することで「これが広報の仕事なんだ」という意識が浸透していきました。
丸々1ページにわたる掲載記事を見た社員から「これ掲載料いくらかかっているん?」と質問され「0円ですよ!」と答えると驚かれるとともに、広報の価値をようやく認識してもらえるようになりました。このような実績の積み重ねを通じて、広報が単なる裏方の業務ではなく、企業活動において重要な役割を果たすものだと理解してもらえるようになったのです(平木様)
こうした変化は、社内の風通しの良さやコミュニケーションの活性化にもつながっています。広報活動をきっかけに、社員同士が積極的に協力し合う姿勢が生まれ、より前向きに意見を出し合える環境が形成されました。
広報活動の結果として得られた企業ブランディングは、採用活動にも好影響を与えています。求職者が弊社の社長インタビュー記事を見てから選考に進むこともあります。直接的な成果とは言い難いですが、広報活動がもたらした付随的な効果として非常に大きな意義を持っていると感じています(関谷様)

ネタもと独自の「PR活動診断」
ネタもとでは、定期的に独自の「PR活動診断」を実施し、お客様の「自走化状況」を可視化・数値化することで、成果が見えづらい広報活動の「効果検証」を可能にし、自走化実現までの道のりをしっかりとサポートしています。


これまでに掲載された主な媒体名
・ツギノジダイ
・近代中小企業
・日刊ゲンダイ
・ウォーカープラス
・朝日マリオン・コム / 朝日新聞
・週刊大阪日日新聞
・ZUU online
・夕刊フジ
・THE21
・ダイヤモンド・オンライン
掲載されるために工夫したこと
掲載されるために工夫したことは、積極的にメディアにアプローチする姿勢を持つことです。これは最初に『日経MJ』さんに新商品を取り上げていただいた経験から学びました。私にとって初めてのプレスリリース作成とPR活動で、右も左も分からないなかでしたが、自作のプレスリリースを添えて送ったところ、新商品のページに掲載していただけました。初めて自分の手で結果を出せた経験となり、非常に感動した瞬間です。
積極的な姿勢は、『メディア交流会』において大きな収穫を得ました。最初の参加時は、限られた時間内で弊社の情報を伝えようとするばかりで、かえって伝わりづらい内容になってしまいました。参加するごとに改善を重ね、今では各媒体について事前にリサーチを行い、特性や関心に合った情報を準備するよう心がけています。
メディアごとに伝え方や切り口を変えることで、より効果的な対話ができるようになったと感じています。たとえば、一般消費者向けのメディアには商品の特徴を分かりやすく伝える一方、社会的課題を扱うメディアにはフードロスや食品価格高騰といった問題を切り口にアプローチすることで、柔軟に対応することができるようになりました。
こうした経験を積むことで、単に取り上げられることをゴールとするのではなく、読者や視聴者にとって意味のある情報を伝えたいと思うようになりました(平木様)
どのような企業に「ネタもと」を勧めたいか
広報活動を始めたいけど、発信の仕方が分からないと感じている企業にネタもとを勧めたいです。そのような企業は「自分たちにはアピールするものがない」「何を配信すればいいか分からない」と思っていると推測しますが、それは誤解です。「自分たちが自発的に情報を発信することで、企業の強みや魅力に気づいてもらう」ことが広報PRだとまずは知っていただきたいですね。重要なのは、最初の一歩を踏み出すこと。そのために、ネタもとが提供するサポートは非常に役立つと感じています。
また、BtoCに進出を検討している企業にも広報PRはお勧めです。BtoBは「企業間の取引がメインなので広報は不要」と見られがちでしたが、時代の変化とともに、企業価値を外に伝える重要性が増していると感じます。たとえば今後、技術や製品を他社と協業して新商品を作ることもあるかもしれません。その際、ゼロから始めるのではなく、あらかじめ企業認知を高めておくことで、新事業をスムーズに展開する基盤となり、事業展開を加速させるための重要な戦略的ツールとなります。
協業や多角的な事業展開が求められる時代においては、広報PRはどの業界にも必要不可欠なものとなると思います。「難しそう」「アピールするものがない」と思う企業にこそ、ネタもとを活用して、自分たちの価値を伝える手段を持ってほしいです(平木様)
今後のさらなる目標
現在、私たちは企業としてのポジショニングを見直し、ブランドの在り方を少しずつ変えています。これまでBtoBを主軸に事業を展開してきましたが、一般市場においても認知される企業を目指したいと考えています。私たちが進めているBtoCへの展開は、これまでの企業活動にはなかった取り組みです。この変革期において、広報PRは重要な役割を担うと考えています。そのためには商品や企業の価値を一般の方々に直接伝え、周知を広げていくことが不可欠だと思っています(関谷様)
自社商品「調味料専用乾燥剤 カタマラーーン」は、関谷の私生活の中で感じた課題をもとに生み出されたものです。日常的な困りごとの解決策として開発された商品なので、多くの方にその便利さを知っていただきたいという思いがあります。より多くの方々に商品へのこだわりを知っていただきたいです。そのためには広報PRを通じて、製品の機能性だけでなく、開発背景にあるストーリーや、私たちの想いを丁寧に伝えていくことが重要だと感じています(平木様)
これからも、PR活動を地道に続けながら、BtoC市場での存在感を高めていきたいと考えています。私たちの商品が消費者の日常生活に溶け込み「この商品見たことある、使ってみよう」と思っていただけるブランドを目指していきます(関谷様)
BtoBからBtoC市場への進出を果たすために「広報PR」という手段を選んだ、山仁薬品株式会社様。広報活動の経験が全くなかった同社ですが、積極的にメディアにアプローチし、プレスリリース作成やメディア特性に合わせた情報発信を繰り返すことで、メディア掲載の頻度が増加。さらには、社内で広報の重要性が認識され、従業員同士の協力体制も強化されたようです。
「協業や多角的な事業展開が求められる時代において、広報PRはどの業界にも必要不可欠」という、関谷様の言葉がとても印象深く残りました。
お忙しい中、快くインタビューにご協力くださった、関谷様、平木様、本当にありがとうございました。
参考:山仁薬品株式会社様:9名(2025年3月現在)