こんにちは。株式会社ネタもと PRプロデュース部です。
本コンテンツでは、広報担当者の「業務のヒント」となる情報をご紹介します。
今回のテーマは、プレスリリースなどの情報発信における【自社の魅力を裏付ける「業界動向」「数値」「調査データ」について】です。
PRで気をつけたいことの1つとして、自社の魅力をアピールしたいがために一方的な情報発信となってしまうことです。製品・サービスの良さを伝えるためには、他との差別化、その良さの根拠が必要です。その際に、社会と比較した数値や調査データにより、その価値を客観的に裏付け、情報に説得力を持たせることができます。
今回はその要素となる「業界動向」「数値」「調査データ」についてご紹介します。
業界動向がわかるデータをまとめよう
プレスリリースにぜひ取り入れたいのが、業界動向です。業界動向の把握は、経営者が企業の持続可能な成長を目指す上でも不可欠なことです。競合他社の動きを把握し、自社の位置づけを明確にすることで、市場での優位性を保つほか、業界の変化を捉えて新たなビジネスチャンスを見出したり、潜在的なリスクに備えたりする戦略基盤となり得ます。
同様に、業界の動向を捉えながら自社の強みや魅力を継続発信することで、自社のファンづくりをしていくのがPR戦略です。自社発表に業界全体の状況を加えることで、業界内での自社の位置づけや、取り組みの意義が明確になります。それにより発表内容が、単なる「自己PR」から「公益性のある情報」へと格上げされ、メディアの目に止まりやすくなります。
また、メディアリレーションでも業界全体の動向を伝えられることで「この業界のことは〇〇社の広報さんに聞いてみよう」とメディアが相談したい広報になります。
情報はできるだけ数字を用いて伝えよう
具体的な数値は、主張の裏付けとなり、情報の信頼性を高めるほか、読み手(メディア)の関心を引きつける効果もあります。環境に対する取り組みを例に見てみましょう。
(数値がない文章例)
当社は地球環境問題に配慮し、製造工程におけるCO2削減に取り組んでいます。
(数値を入れた文章例)
業界全体のCO2排出量が年間約1,200万トンとされる中、当社は以下の具体的な目標を設定しています。
・再生可能エネルギーの使用率を現在の30%から2030年までに60%に引き上げ
・リサイクル材使用率を現在の15%から2030年までに50%に拡大
これらの取り組みにより、年間約10万トンのCO2排出削減を見込んでいます。
具体的な数値や業界動向を盛り込むことで、プレスリリースの内容は格段に説得力のあるものとなり、取り組みのイメージが具体的に喚起されます。
客観的事実で自社情報の信頼性を上げる調査データ
調査データを適切に活用することで、プレスリリースの信頼性と影響力を大きく高めることができます。調査データは主観的な情報を客観的な事実で裏付けます。統計データなどから製品やサービスに社会的な広がりが見出せれば、メディアにとっても非常に魅力的な情報となります。
・調査データの種類
プレスリリースで使用される調査データには様々な種類があります。たとえば、新製品やサービスなどの発表時には、以下のようなデータを活用してみましょう。
・製品やサービスが解決する問題や満たすニーズに関する情報や統計、アンケート結果
・性能や機能面での優位性を示す数値データやアンケート結果
・製品やサービスによる経済効果(売上予測や雇用創出効果など)
・社会課題解決への貢献度(省エネ効果やCO2削減量など)
製品やサービスの特徴、時事性などに照らして、自社調査や業界統計などから適切なデータを選択し、プレスリリースを説得力のある内容に補強しましょう。
・省庁、自治体などの公開データ
業界や自社の調査データのほか、プレスリリースにぜひ活用したいのが、官公庁の公開データです。官公庁のデータは一般に高い信頼性を持ち、読者やメディアからの信用も得やすくなります。経済指標などの公的データを用いることで、投資家に対しても説得力のある情報を提供できます。
また、プレスリリースに国や地域全体の統計データを引用することで、自社の取り組みや製品・サービスを社会的な文脈の中に位置づけることができ、その意義や重要性を明確に伝えることが期待できます。業界動向や社会課題の裏付けとしても、公的機関のデータは非常に有効です。
国が注力する施策や、社会の動きを反映する統計、社会的に注目度の高いテーマに関する調査など、公的データは報道機関が常にウォッチしている重要な情報源です。これらを自社の発表内容と絡ませ適切に引用することで、プレスリリースがメディアに取り上げられる可能性は高くなるでしょう。
気を付けなければならないことは、データの扱いです。他の企業、団体が行った調査データは、その調査元に使用したい旨、相談してから引用するようにしましょう。プレスリリースに各種データを用いる場合は、出所や調査方法、調査日などを明確にすることが重要です。もちろん、引用時に元データに手を加えてはいけません。引用・出典元を必ず明記し、信頼性の高いデータであることを示しましょう。
以上、今回は自社の魅力を裏付ける「業界動向」「数値」「調査データ」についてご紹介しました。
画期的な製品、有益なサービスも、その価値が客観的に裏付けられてこそ説得力があります。適切なデータを用いて、プレスリリースを作成しましょう。
広報の役割には「社会の情報をキャッチし、社内に伝えること」があります。自社の魅力や強みを裏付ける業界動向や各種データは、経営戦略にも有益な情報となります。経営者は、経営機能のひとつと位置づけられる広報の役割を機能させ、自社の経営戦略を反映させたPRをリードしていきましょう。