こんにちは。株式会社ネタもと PRプロデュース部です。
本コンテンツでは、広報担当者の「業務のヒント」となる情報をご紹介します。
今回のテーマは、「採用広報の成功は、社内の協力がカギ。会社の強みをリアルに伝える」です。
少子高齢化による若い働き手の減少や、働き方に対する価値観の変化などを背景に、企業の採用活動は年々難しくなっています。「従来の方法ではまったく人が採れなくなってきた」といった声も、あちこちから聞かれるようになりました。
「待ちの採用活動」から「攻めの採用活動」への転換が求められる中、採用難を打開するために新たに広報活動に取り組み始めた企業も少なくありません。自社の魅力を発信し、認知度を高め、求職者を惹きつける「採用広報」は、どの企業にも必須となりつつあります。
そこで今回は、採用広報成功のポイントについてご紹介します。
慢性的な人手不足で、求人情報だけでない認知度獲得が必要に
より魅力的な人材を獲得するために、企業が求職者向けに自社をPRするのが「採用広報」です。従来、求職者に対する情報発信は、採用説明会や求人専門媒体への掲載など、定型的なものにとどまっていました。
しかし、近年の採用市場における競争の激化や情報収集のデジタル化に伴い、企業には他社と差別化できる採用広報が求められるようになっています。その結果、採用広報に注力する企業が増え、PR手法も多様化しています。
こうした背景から、定型的な採用情報の公開だけでは求職者にリーチできなくなっているのが実情です。そのため、従来型の求人情報にとどまらない多角的な情報発信が必要となっています。
少子高齢化は今後も進行し、慢性的な人手不足が続くことが予測されています。この厳しい採用環境を乗り越えるためには、継続的な情報発信による認知度の向上が欠かせません。また、従来の方法では応募してこなかったような潜在層にも訴求できる情報を、継続的に発信していく必要があります。
求職者のニーズを知り「自社のリアル」を積極発信する
採用売り手市場の中で、競合他社ではなく自社を選んでもらうためには、求職者の傾向をよく知ることが重要です。インターネットやSNSを駆使する現在の求職者たちは、求人票や求人サイトに掲載されている給与や労働条件などの基本情報だけでなく、働く社員の様子や職場の雰囲気など、よりリアルな情報を求める傾向があります。
ワーク・ライフ・バランスや多様な働き方を志向する若い世代にとって、そこで働く自分をイメージできるかどうかは、企業選びにおいて重要なポイントです。そのため、企業側としては「実際に入社してみないとわからない魅力」をどれだけ開示できるかがカギとなります。
これらの情報を積極的にオープンにすることは、価値観や職場環境、人間関係など、企業カルチャーになじめないことを理由とする早期離職を事前に防ぐという点でも、企業側にとってメリットがあります。
社員の協力がリアルな情報発信のカギ
そして、リアルな情報発信のためには社員の協力も不可欠です。たとえば、育児や介護と仕事を両立している社員の生の声を発信することで、さまざまなライフイベントと向き合いながら働き続けられる会社だということを、求職者に具体的に想起させることができます。
また、入社直後にどのような仕事を任されるのか、どのようなキャリアデザインが可能なのか、働き方に関する希望を言いやすいか、わからないことを聞きやすい環境かどうか、といった情報も若い求職者が知りたい内容です。
ただし、これらの情報を「活躍できる環境」「話しやすい雰囲気」などと抽象的に発信するだけでは、求職者の心には響きません。具体的に取り組んでいる施策や詳細な体験談を通じて、求職者が自社で働くシミュレーションを描けるような情報発信が必要です。社内制度や福利厚生についても同様で、制度の存在を伝えるだけではなく、取得率や取得者の具体的なエピソードを積極的に発信すると効果的です。
そのような具体的な働くイメージを提供するとともに、経営者からは「何のために会社を経営しているのか」、社員からは「会社のどのような考えに共感し、なぜこの会社で働いているのか」といった視点で会社の存在意義を伝えることで、そこに魅力を感じ、共感する人が応募してくるようになります。
発信の方法としては、経営者や社員のインタビュー記事をメディアで公開するのも1つの手段です。また、自社のウェブサイトや採用サイトで、経営者と社員の対談・座談会を公開することも有効です。これにより、社風や風通しの良さをアピールするとともに、経営者のメッセージと現場のリアルな声を求職者だけでなく社内にも伝えることができます。こうした情報発信は、社内のファンづくりにも効果的なので、ぜひ積極的に取り組んでみましょう。
経営者は社員を広報活動に巻き込み、魅力あふれる会社づくりを
情報発信、特に採用広報で最も重要なのは、同じ思いを持つ社員が何人いるか、そして社員からの言葉に「熱」がこもっているかどうかです。「働きやすい」というメッセージがあっても、社員が本音でそう思っていなければ「会社が言っているだけ」と捉えられ、しらけてしまうこともあります。
求職者にとって、実際に働く社員たちの言葉には非常に説得力があります。そのため、強みを明確に言語化できる社員が増えれば、多くの求職者を惹きつけることが可能になります。
社員が自社を深く知り、強みや存在意義、魅力を再発見すること、また「自分たちの会社をより良くするにはどうしたらよいか」を考え、より良い会社づくりへの活動を行いながら、外部への情報発信を経験すること。これにより、社員は自社の魅力を自分の言葉でしっかりと訴えかけられるようになります。
採用広報には、人事や広報担当者、各部門長に加え、最近就活を経験した若手社員や、現場をよく知るベテラン社員など、普段採用には直接関わっていない社員も活動に参加することで、社員のエンゲージメント向上にもつながります。
このために最も必要なのは、経営者が広報活動の目的と必要性を自ら社員に伝え、常に協力体制を築いておくことです。経営者が率先して取り組む姿勢を示すことで、社員は広報活動に積極的に参加し、自社を外部に伝える「発信者」としての意識を高めていくことができます。
以上、今回は、採用広報成功のポイントについてご紹介しました。
採用競争に頭を悩ませている経営者も多いと思います。しかし、広報を採用活動にうまく取り入れることで、求める人材の応募を増やし、入社後のミスマッチを減らすことが期待できます。求職者に向けてより多くの情報を提供し、自社の魅力を知ってもらうために、経営者自らがリーダーシップを発揮し、社内外のファンづくりを意識した採用広報を展開していきましょう。