こんにちは。株式会社ネタもと PRプロデュース部です。
本コンテンツでは、広報担当者の「業務のヒント」となる情報をご紹介します。
今回のテーマは、広報の目標設定の指標の一つとなる「ベンチマーク」についてです。
広報活動も他の仕事と同様に、目標の明確化は不可欠です。目指すゴールや、ゴールまでの計画が明確であれば、日々の活動も質の高いものとなり、成果につながります。
しかし、広報を始めたばかりの担当者からは「何をもとに広報の目標を立てればいいのか」という相談が多く寄せられます。
そこで取り入れたいのが、競合他社を指標とするベンチマークです。
理想的な広報を実践している企業と自社との比較・分析に基づいて目標値を定める手法であり、他社との客観的な比較を通じて、自社の強みや弱みを明確に把握でき、改善すべき点が具体的に見えてきます。
また、他社の成功事例に学ぶことで、新たな情報発信の切り口や効果的なアプローチ方法の発見にもつながります。今回ご紹介する「広報目標を明確化するベンチマークの設定ポイント」をぜひ参考にしてみてください。
ベンチマークを設定することのメリットとは
ベンチマークは「指標」や「基準」という意味がありますが、ビジネスにおけるベンチマークとは、比較の対象とする競合他社の活動や成果などの事例を指標として、自社の現状を評価・分析し、改善につなげる手法であり、“ものさし”の役割を果たします。
指標となるベンチマーク企業の広報活動を調査・分析し、自社と比較することで、課題や必要な施策が見えてきます。それらの分析結果をもとに、情報発信数やメディアアプローチ回数などの具体的な目標値を設定していきます。
効果的な広報活動を展開するためには、具体的な目標設定に基づく施策と定期的な効果検証による改善を繰り返していくことが重要です。
ベンチマークを設定するポイント
ベンチマークの対象として、まずは事業内容や規模が同程度の企業をいくつかピックアップします。それらの企業のコーポレートサイトや企業名、商品・サービス名などをインターネットで検索し、プレスリリースの発信数、メディア掲載数、SNSでの発信数などを確認しましょう。
こうした量的な把握は、自社の情報発信数や掲載目標を立てる際の具体的な参考例となります。
同時に、どのような切り口で情報発信をしているのか、どの媒体に掲載されているのか、SNSではどのような反応が見られるのかといった「質」について分析することも重要です。それにより、自社が目指す広報の姿に近づけるために何をすればよいのかが明確になります。
魅力的な広報を展開している企業は、他業界の企業もベンチマークの対象とします。
商品・サービスが異なっていても、SNSで良い波及効果を生み出している企業や、価値の高いコンテンツ発信をしている企業については、どのような広報活動を行っているのかチェックしてみましょう。
異業種の場合、コーポレートPRに着目すると比較対象を見つけやすくなり、企業価値向上を目指す企業にとって効果的なベンチマークを設定できます。地域貢献やSDGsの取り組み、社内制度や福利厚生といった企業の活動について、他社がどのように情報発信しているのか、また、どのような取り組みがメディアに取り上げられているのかをリサーチしましょう。
自社の現状把握で適切なベンチマークを
こうしてピックアップした企業の施策を自社の広報活動状況と照らし合わせて、ベンチマークを選定していきます。ただし、事業規模や業態、広報の成熟度などが自社と大きく異なる企業をベンチマークに設定しても、現実的で有意な指標とはなりにくいものです。
まずは、以下のような項目をもとに自社の現状を把握しましょう。
・情報発信数(プレスリリース、オウンドメディア、SNSなど)
・メディア掲載数
・WebサイトやSNSの運用状況
現状を正確に把握した上で、目指す理想像を定め、適切な企業を選ぶことが重要です。
また、自社の広報活動の進捗や達成段階に応じて、定期的にベンチマーク企業の見直しや再設定を行うことも必要です。
ベンチマークから自社の課題と強みを見つけることも
ベンチマーク分析により、自社に必要な情報発信数やメディアアプローチ頻度など、適切な目標設定が見えてきます。ベンチマーク企業の掲載記事や発信コンテンツからは、訴求力の高いネタのテーマや切り口、ターゲット媒体の選定など、自社の広報戦略に活かせる点も多いでしょう。
また、掲載記事からは、競合が発信した情報のどの部分が社会の関心や興味を引いているのかを知ることができます。これにより、自社の目標設定や情報発信ネタの参考になるだけでなく、商品開発、マーケティング、広告宣伝のヒントとなる場合もあります。
さらに、他社との比較分析を通じて、自社の強みを発見したり再認識したりすることも可能です。商品・サービスの開発力や技術力、企業の社会貢献活動など、さまざまな観点から自社とベンチマーク企業を比較することで、自社独自の強みを多角的かつ客観的に把握できます。この強みは他社との差別化につながり、広報活動のみならず事業活動全般を後押しする要素となります。
以上、今回は「広報目標を明確化するベンチマークの設定ポイント」についてご紹介しました。現状に合った適切なベンチマークを設定し、戦略的な広報活動を展開していきましょう。