
こんにちは。株式会社ネタもと PRプロデュース部です。
本コンテンツでは、広報担当者の「業務のヒント」となる情報をご紹介します。
メディアは企業活動を取り上げる際、社会的意義や公益性を重視し、「今この話題を取り上げる必要性」をシビアに検討しています。
そのため、経営者や広報担当者は、日々のニュースから世の中の動きをキャッチし、自社の活動が社会にとってどのような意義を持つのかを、メディアに対して明確に示していく必要があります。
そこで今回は、会社と社会課題の接点を見つけ、ニュースバリューのある情報発信を作るため、広報活動に取り入れたい「ニュース分析」についてご紹介します。
なぜ「ニュース分析」が広報に有効なのか
メディアは常に、読者・視聴者にとって有益な「公益性」「社会貢献性」のある情報を求めています。報道の本義は公共性にあり、メディアは社会性を軸に報道の価値判断をしているからです。
どんなに売上が伸びている商品・サービスであっても、販売実績のみでニュースが構成されるということはあまりありません。それでは、商品・サービスの単なる「宣伝」になってしまう恐れがあるからです。
それらが「なぜ今世の中で必要とされているのか」「どのように人々の役に立っているのか」といった、社会との接点が見いだされてはじめて、報道する意義のある情報となるのです。
会社と社会課題との接点を見つけ、効果的な情報発信をするために取り入れたいのが、「ニュース分析」です。自社にとって関連性の高い記事や、気になるニュースをピックアップし、報道の背景にある世の中の動きや、取り上げられていることの社会的意義について、詳しく分析します。
こうしたニュース分析を通じて、自社の活動を世の中の動きと結び付けられるようになると、より公益性の高い情報発信ができるようになり、メディアの関心を集めやすくなります。
また、ある広報担当の方からはニュース分析から自社が発信する“ネタ”を思いつくことが多いということも聞いたことがあります。 そして、自社の活動を社会と結び付けて考えることは、社員たちが「自分たちの仕事が社会にどんな影響を与えているのか」を改めて認識する機会となるため、社内エンゲージメント向上も期待できます。
ニュース分析のステップ
具体的なニュース分析のステップを以下にご紹介します。
1.ニュースの選定
自社と似た事業を行う企業や、社会貢献活動で注目を集める企業の記事など、自社と関連性が高いと思うニュースや気になる話題をピックアップします。
取材や講演など外部からの依頼にもすみやかに対応するよう心がけ、メディアやステークホルダーとの良好な関係づくりに努めましょう。
2.「なぜ今それがニュースとなるのか」情報の社会性、時事性を見つける
記事内容から「メディアがなぜ今その情報を取り上げたのか」についてディスカッションします。
国や自治体、業界内で新たに打ち出された施策や、最近発表された統計や法改正、トレンドや記念日など、取り上げられている情報が世の中のどんな動きと連動しているかに注目してみましょう。
3.自社の活動と社会課題の接点を見つけ、情報発信の方向性を定める
2のニュース分析をもとに、自社の事業や取り組みをどのような社会課題と紐づけられるかを明らかにし、情報発信の方向性を具体的に決めていきます。
報道資料を作成する際は、自社がリーチできる社会課題について、具体的な数値や比較データなどを引用しながら説明し、問題の背景と自社が担える役割、将来像を明確に伝えるようにしましょう。
法改正や記念日など、情報のニュース性が高まる最適なタイミングで発信することも大切です。
ニュース分析を活用した広報例
ニュース分析による広報の成功事例をご紹介します。
今年6月より、労働安全衛生規則が改正され、職場における熱中症対策が罰則付きで義務化されました。ある物流企業様は、ペットボトルの水や塩飴の配布など、既に夏季の熱中症対策に取り組まれていましたが、メディア向けの情報発信は行っていませんでした。
そこで、広報会議の中で、職場の熱中症対策義務化に関するニュース分析を実施。職場での熱中症死傷者の増加が深刻な社会課題となっていることや、同社の取り組みの社会的意義について意見交換し、情報発信に向けた準備を進めることになりました。
ニュースとして取り上げてもらいやすいタイミングを考慮し、今年の熱中症対策の取り組みは、改正規則施行日に合わせてスタートさせることに。開始当日の様子は、メディアに公開することにしました。
取り組み開始の前月に発表したプレスリリースには、厚生労働省による「2024年の職場における熱中症による死傷者数」の調査を引用。業種別の状況も紹介し、運送業での熱中症事例が全業種中3番目に多いという業界課題も明らかにしました。
プレスリリース公開直後よりメディアからの問い合わせが相次ぎ、取り組み開始当日には、テレビ2社、新聞1社が取材に訪れ、最終的にテレビ、新聞、業界紙、WEBなど計10媒体に記事が掲載されました。
ニュース分析により、自社の取り組みの社会的意義を再認識し、規制が変わるタイミングを捉え適切に情報発信されたことで、社内で例年実施していた熱中症対策が、企業のモデルケースとして広く世の中に報道されることにつながりました。
以上、今回は 『ニュース分析』についてご紹介しました。
事業や製品・サービスを多くの人々に知ってもらうためには、それがどのように社会のためになるのか、どんな課題を解決できるのかを、しっかりと伝えることが必要です。
広報の役割は社外の視点を持つことです。いくら自社から見て最高の商品、活動でも伝えたい相手がそう思わなければメディア掲載の数も商品であれば販売の数も増えません。 是非、自社の魅力をより広く社会に伝えていくための活動として取り入れてみてください。