BtoB業態ゆえ、広報活動を行ってこなかった企業が
「伝える力」で採用難を突破
離職率ゼロ・共感人材の獲得を実現させた広報改革

広報人材グループ 太田奈里様(中央)、設計デザイン部 飯野雅香様(左)
1973年創業以来、さまざまなイベントの企画・運営・制作を通じ多くの企業の想いを形に変える事業を行ってきた、バンセイ株式会社。世界に向けて中継されるサッカーやラグビーのビッグマッチ、野球・ゴルフの人気プロスポーツなど多くの人々の心揺さぶる「夢の舞台」の会場を作りあげています。
B2B事業ゆえに、昨年までは広報PR活動を一切行ってこなかった同社ですが、この1年間で自社の魅力を的確に伝えるノウハウを習得し、多くの成果を得ています。
今回は、ネタもと利用歴2年目を迎え、「トップ自ら広報に積極的に関与する」ことで情報発信の質と成果を高めている、バンセイ株式会社 代表取締役社長 上田 浩太郎 様、広報人材グループ チーフ 太田 奈里 様、 設計デザイン部 飯野 雅香 様に、広報PRに注力した背景や、得られた成果について詳しくお聞きしました。
「ネタもと」導入前の経営課題・悩み
私たちが携わるイベント業界は、コロナ禍で大打撃を受けました。2020年の東京五輪の際に最高益を出す予定だったのですが、五輪は2021年に延期になり、その目標は叶いませんでした。さらに、延期になった2021年も無観客開催という状況で、売上は前年比で8割ダウンし、離職者も数名出ました。
私自身は2020年に事業承継を予定していたのですが、コロナ禍の真っ只中ということでそれを先延ばしにし、2022年に代表に就任しました。なんとか業績を盛り返さなければと社内改革を中心に進めていましたが、そのうち採用活動に課題を感じるようになっていきました。
コロナ禍前までは毎年5~6名ほどコンスタントに新卒の社員を採用できていたのですが、昨今の売り手市場も相まって、学生が同業他社に流れるようになり、内定辞退も相次いだのです。売上がなかなか立たない中、会社の魅力も十分に伝えられなかったので、採用活動のためにも、それまでの受け身の姿勢を変え「表に出ていく」必要を感じ始めていました(上田様)
もとより風通しが良い会社だと思っていますが、今振り返ってみると、コロナ禍で社員が出勤しなくなったことから、社内の雰囲気が停滞していたと思います(太田様)
「ネタもと」導入前の広報PR活動状況
ネタもとを利用する昨年(2024年)4月までは、広報PR活動の経験は全くなく、社内に広報体制もありませんでした。
またプレスリリースなどの報道資料を作成したこともなく、WEBサイト上やSNSでの情報発信も行っていませんでした。社内への情報共有も、業務連絡の「伝達」のみで、各部門の仕事や人を紹介するような社内広報活動は行っていませんでした。
社外向けにも社内向けにも、自社のことを前面に押し出すというよりは、現状維持、現状満足でいた会社だったので、私が代表になったのを機にそこを変えていこうと思っていました。広報に対しては「企業の不祥事の際に記者会見で司会をする人」というようなイメージしかなく、課題だった採用に関しても、マイナビやリクナビといった新卒採用の媒体を使うのみで、自社独自の発信は行っていませんでした。
求人サイト以外は利用しておらず、ほとんどが当社公式サイトの採用ページからでした。以前はある程度の応募はあったのですが、コロナ禍で応募数が一気に少なくなりました。同業他社と比較しても情報の発信をしてこなかったので、当社の魅力が十分学生に伝わっていなかったのだと思います(上田様)
フリーアドレス化は、若手社員とベテラン社員との交流が増え、徐々に社内の人間関係がよりよいかたちで構築されていきました。コミュニケーションの活性化に加え、業績の回復もあり、広報活動に取り組み始める少し前から、明るい雰囲気を取り戻しつつあったと思います(太田様)
「広報PR活動」を重視するに至った理由
採用に課題を感じていたところに、ネタもとから営業を受けたことがきっかけです。営業担当者から広報に取り組むことのメリット、取り組まないデメリットを説明されるうちに、それまで会社や社員の魅力を前面に出してこなかったことに気づき、トライしてみようと思いました。
ネタもとの本村代表が言う「企業が存在価値を示さなければ、存在していないものと同じ」という言葉通りだと思ったからです。広報活動が売上に直結するものではない、ということは理解していたので、そこに重きを置いていたわけではなく、自社の強みや魅力を発信することで、とにかく採用につなげたいと思ったのが一番の理由です。
広報は全くの未経験でしたが、ネタもと営業担当者の説明を聞いて「やればやっただけ、結果は返ってくるだろう」と思い、決断しました(上田様)
広報活動へのイメージが全くなかったので、情報発信に力を入れていくと聞いても、最初は疑問ばかりでした。「何を発信すればいいんだろう」というのが正直なところでした(飯野様)
数あるPR支援の中で「ネタもと」を選んだ理由
ネタもとから営業を受け「広報」という選択肢が増えたこと、営業担当者の熱い思いが一歩を踏み出す決め手になりました。
今思い返すと、コロナ禍以前は、私も含め社員全員、がむしゃらに仕事に突き進んでいて、会社を見つめ返す時間がまったくありませんでした。それが、コロナ禍に大打撃を受けたことで社内改革や魅力の発信といったことの必要性に目を向けるようになりました。
未経験から広報活動に取り組むうえでは、やはり『広報トレーナー』が伴走してくれる点は大きかったです。ネタもとのプログラムの最終目標は、【広報の自走化】ですが、スタート時からトレーナーがついて的確なアドバイスを受けられるという点が、安心材料となりました。また、経営者の目線で言うと、月1回開催されている『経営者向けメディアセミナー』や『経営者ビジネス交流会』にも期待するところがありました。同じような志を持った経営者の方が多数ご参加され、各社の取り組みや苦労された点などをお聞きし、その成功事例を自社と比較して参考にさせてもらえる魅力的なプログラムだと感じました(上田様)
「ネタもと」を利用し得られた成果
本格的に広報に取り組む少し前から、まずは経営者である私自ら社員総会を開いて、直接、私の考えや方針を全社員の前で伝えるなど、コミュニケーションの活性化を図るようにしました。弊社は自社ビルで全7フロアありますが、私も社長室にこもることなく、各フロアに顔を出したり声をかけたりするよう意識しました。
ネタもとを導入してからは、メディアに掲載いただいたことをホームページにアップしているのですが、最近学生たちがそれを読んでくれているようで、採用面接時に記事の内容に触れられることが増えました。
インタビュー時に、代表としての考えや思いについて学生側から質問を受けることもあります。掲載記事をきっかけとして、面接を受けに来てくれる人は、確実に増えていると感じます。
厚生労働省の「令和3年雇⽤動向調査結果の概要」によれば、全産業の平均離職率は13.9%に対し、イベント業界の離職率は約35%とされており、全産業平均を⼤きく上回る傾向となっています。しかし当社は、平均年齢37歳の従業員約100名が在籍する中、3年連続で「離職率ゼロ」を達成しています(上田様)
今までの採用活動は、マイナビなどの採用サイトページから情報を得て、エントリー、面接へ進むという流れが固定化していました。ホームページには代表挨拶や企業理念なども掲載していますが、社長が理念や事業に対して具体的にどんな考えを持っているかということや、社長が取り組むことに対し、社員がこう動いた、こんな声が上がった、といった情報は伝えきれていませんでした。広報活動を通じてメディアに記事が掲載されたり、SNSを開設したりしたことで、自社のリアルな姿を情報発信できる環境が整ってきたと思います。
最近の学生は、会社選びにあたっては「社員の生の声」を拾い、社内の雰囲気を知ることを、とても重視していると感じます。広報活動で情報を積極的に発信し、今まで以上に当社に興味を持っていただけるようになった点は、広報活動の大きな成果だと感じています(太田様)
社内の成果としては、これまで当社はイベント業としてはやや堅いイメージがあり、夏の時期も半袖ポロシャツの着用が基本でした。広報活動を始めてからは日々の当たり前を見直し、短パンでも、ビーチサンダルでもOK、という「スーパークールビズデー」という新しい制度を設けました。社員からは「とてもいい企画だ」と好評で「社内も明るくなるし、快適に過ごせていい」という声も多く耳にしているので、やってみてよかったなと思っています。
また、メディア掲載された時の社内へのインパクトは大変大きく、そのお陰で、社員たちが広報活動やSNS運用に対しとても協力的になってきました。メディア掲載記事や情報発信を見た同業他社の知人からも「ずいぶん変わったね」「こんなことにも取り組み始めているんだね」と声をかけられます。
私自身、以前はあまりメディアに露出したいタイプではなかったですし、自社を全面的に押し出すという考えはなかったのですが、いざ広報に取り組んでみると、掲載はやはりとても楽しみですね。当社の魅力や思いが詰まったPRですから、最近では「発信した情報が取り上げられないとつまらないなー」という気持ちも出てきています(上田様)
以前は、「メディアとの接点」は、全くありませんでしたが、現在は、ネタもとを通じて取材をしていただいたメディアの方々と、個人的にメールをやり取りをしたり、プレスリリースの案内を個別に送ったりして、興味をもっていただけそうなところには頑張ってアプローチするようにしています。
始めはメディアの方は近寄りがたいイメージがあり、多くのメディアの方と直接交流ができる「メディア交流会」でも、しっかりプレゼンテーションの準備をして挑まないと伝わらないのでは、と身構えていました。もちろん準備や要点をまとめてお話しすることは大事ですが、いざ交流してみると、メディアの方によって興味を持たれるポイントもさまざまで「ここの部分、気になるのでぜひメールで送ってください」など、気軽に言っていただくこともありました。
あるテーマで話していても、こちらが考える視点と全く違う視点で質問されるメディアの方もいらっしゃり、多様な角度からアプローチすることが大事だとわかってきました。誰にどんな情報が刺さるかわからない、というところは、とても面白いですね。広報活動をスタートしてから1年がたった今では、ネタもとのプログラムを通じてできた自社メディアリスト数が260名になりました。プレスリリース作成についても、ネタもとの広報トレーナーに伴走してもらいながら作成していき、何をまとめていくと伝わりやすいか、メディアの方がどんなところを見ているのかが、少しずつわかってきました。興味を持ってもらうためのタイトルの付け方や、プレスリリースを送付するメールの件名の書き方までアドバイスをいただき、1回作成するごとに前回を振り返りながら、「今回は、もうちょっとこんな文章を入れたら刺さるかな」など、試行錯誤しながらですが成長できています(太田様)
私はSNSの担当になってから、家族にもInstagramの投稿を見てもらっています。家族には、「こういう仕事をやっているんだね」と知ってもらうことができました。仕事について家族に説明する機会はあまりなかったので、自分が担当する情報発信を通じ、きちんとわかってもらえたのは良かったと思います(飯野様)
具体的に取り組んだこと
広報活動を本格化させるにあたっては、社員総会で、広報PRに力を入れていく、という話をし、社員全員に協力を促しました。メディア掲載や社内制度の新設など新たに取り組んでいくにつれ、社員たちも社内取材や情報発信に積極的に協力してくれるようになってきました。数カ月前からは、SNSの運用も開始し、活動の幅が広がっています。
ネタもとの本村代表から「経営者が広報活動に積極的でないと成功しない」ということをお聞きしていたこともあり、月2回のネタもととの「広報ミーティング」には、私のスケジュール優先で決めるようにし、必ず出席しています。
また、ネタもととのミーティングが終わった後の1~2時間は、別途「社内の広報会議の時間」とし、ネタづくりや発信スケジュール、役割分担などについて話し合っています。情報発信をするための「ネタ出し」にも積極的に関わっており、私が直感で思いついた取り組みについて、他社事例がないかなどをリサーチ・選別してもらいながら、自社オリジナルの企画を打ち出すようにしています。
SNSの発信も、ネタが枯渇して発信が滞ることがないよう適宜ミーティングを実施し、数カ月先のネタまで予定を組んでいます(上田様)
始めの頃は、「社長の経営ストーリー」を集中して打ち出していました。その後もプレスリリースのネタ作りとして、社内制度やイベントなど、メディアに取り上げていただけそうな企画を新しく作ることに注力しています。
ネタ作りについては、ネタもととの定例ミーティングで広報トレーナーのアドバイスを受けた後の社内会議で集中して話し合います。弊社では、ネタもとのプラットフォームにある「メディアが求めているテーマ」に情報を投稿する「リサーチ」への入力、プレスリリースの作成、SNSでの情報発信など、それぞれ担当が決まっているので、他の業務と兼任しながら時間を取って、一気に取り組むようにしています。
「リサーチ」には締め切りがありますし、SNSも毎週の更新日を決めています。具体的な日付を作業目標として設定しスケジューリングしながら各担当者が分担して広報の実務を進めています(太田様)

ネタもと独自の「PR活動診断」
ネタもとでは、定期的に独自の「PR活動診断」を実施し、お客様の「自走化状況」を可視化・数値化することで、成果が見えづらい広報活動の「効果検証」を可能にし、自走化実現までの道のりをしっかりとサポートしています。


これまでに掲載された主な媒体名
・近代中小企業
・わたしの決断物語
・ウォーカープラス
・SWEET!!
・THE OWNER
・北海道新聞
・ゴルフのニュース
掲載されるために工夫したこと
地方のメディアも含め、どのような取り組みが取材されているのか調べるなど、社外でニュースになっている情報を知るように心がけました。 すでにあるものと同じものはニュースになりにくいと思ったので、自社の中だけでなく、社会も意識して情報を選別しながらネタ作りをすることは工夫しています(上田様)
プレスリリースに大きく載せるメイン写真などは、人物を正面から撮るだけでなく、より全体の様子や雰囲気が伝わるよう、様々な角度から複数枚撮影するようにし、撮影時は机が殺風景な印象になっていないかなど、写りこむ背景やレイアウトにも気をつけています。
それと、広報活動を始めてからは、いつも「何か今後のネタになるかもしれない」という意識があり、社内のイベントやちょっとした行事の時も、できるだけ写真で記録をとるようになりました。頭の片隅でいつも「広報でなにか使えるものがあるか」と考えています。
取材原稿は、あくまでメディア側で編集していただくものになるので、極力修正事項が発生しないように気をつけています。取材の段階、打ち合わせの段階で、ご提供できる情報についてしっかり正確に丁寧にお伝えし、メディアの方にできるだけ多くの情報を拾ってもらい、事後確認での修正は、事実確認にとどめるようにしています。また、メディアの方はお忙しいと思うので、取材対応や、原稿をいただいてからの確認の返信など、レスポンスはなるべく早くするように心がけています(太田様)
どのような企業に「広報PR」や「ネタもと」を勧めたいか
実は、既にネタもとをご紹介した企業もあるのですが、情報発信に対して閉鎖的な企業にはぜひお勧めしたいです。
また、私のように代表者が変わるタイミングを迎えた企業も、広報を始めるには良いと思います。中小零細企業を中心に、二代目、三代目へと事業承継する時期があると思います。そのタイミングで新たに企業のクレドを刷新したり、会社の強みを社外へ発信したりすることに挑戦するのは、とても良いことだと思います。新しいことに挑戦したい企業の経営者には、ぜひネタもとを勧めたいですね(上田様)
私は「広報活動は、商品のあるBtoC企業がするもの」というイメージが強く、新商品が出せるからプレスリリースが毎回配信できるのだと思っていました。今では広報を始めて本当によかった、もっと力を入れていきたいと思っています。
広報に取り組み始めた当初は、「うちはモノ(商品)の会社ではないし、どうするんだろう」という不安がありました。当社と同じ無形商材を扱うBtoB企業も、メディアが探しているテーマに「エントリー」する「リサーチ」機能や、「メディア交流会」など、ネタもとのサービスを通じて会社の強みや社員の魅力をどんどん発信できるようになると思います。
伴走してくれる広報トレーナーは、ネタがみつからない時でも一緒に作戦を考えてくれますので、有形商材がなく、何を発信したらいいのかわからないといった企業でも、ネタもとを利用すれば広報活動を始めやすいと思います(太田様)
今後のさらなる目標
採用を盛り上げる目的で始めた広報ですが、ここ3年は離職がゼロ、若い社員も増えました。若い社員は、同世代がいるだけで心強く感じるはずです。本音が言い合える同世代の社員同士で仕事をサポートし合えるような環境がようやくできあがり、定着率が上がってきました。
今後も、広報活動を通じて社内のことをたくさん発信し、事業内容はもちろんのこと、社内の人や雰囲気、社風を気に入ってくれた方々が増えるといいなと思っています。そうして当社に入ってきてくれた若手が、シニア層と一緒になって盛り上がっていければ、会社全体の雰囲気ももっと明るくなり、それが業績につながっていくのだと思います。
社長は何より人を大事にしているので、人の魅力で会社を盛り上げていけるよう、これからも広報に力を入れていきたいと思います(太田様)
私ばかりがメディアに取り上げられていても全く意味をなさないと思っているので、素晴らしい社員、あるいは制度、社内イベントといった企業内の良いところを前面にアピールしていきたいと思っています。それがファン作りの根源だと思いますし、すべてのステークホルダーにファンになってもらえる企業でありたいです。
当社は、歴史が古い企業なので、高齢の社員も多く活躍しています。その中で若手が躍動できる環境をいかに整えるかを常々意識しています。業績を上げることももちろん大事ですが、そうしたシニア層と若手がうまく融合して企業を発展させていくことが、最終的な目標です(上田様)

採用課題を突破口に、未経験から広報活動に乗り出したバンセイ株式会社。経営者の意識改革と社員の巻き込みが、情報発信の質と社内外の反響を大きく変えたようです。「伝えることは、存在を示すこと」という信念のもと、広報を企業価値の中核に据えた同社の取り組みは、同じ課題を抱える企業にとって大きな示唆となるのではないでしょうか。
お忙しい中、快くインタビューにご協力くださった、上田 様、太田 様、飯野 様、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
参考:バンセイ株式会社 様:110名(2025年7月現在)