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地方建設会社が広報で“組織変革”に成功

地方建設会社が広報で“組織変革”に成功

社内の停滞と地域での存在感不足に危機感を持ち、
広報を通じて従業員と地域が協働する体制を構築。
組織力と社員の主体性を高め、地域からの信頼を確立

スーパー耐久シリーズに参戦の「公団ちゃん」と代表取締役社長 佛田 尚史 様

地域の社会基盤整備を中核に、一般土木工事や農業土木、維持・管理工事、除排雪業務、警備業務まで幅広く展開し、1963年の創業以来、岩見沢を拠点に発展してきた、栄建設株式会社

変化が激しい社会環境の中で、地域に求められる役割や責任が高まる状況においてその期待に応えるべく新しい発想やPR施策を積極的に取り入れ、企業価値の向上に挑み続けています。

今回は、ネタもと導入2年目を迎え、インナーブランディングで最大の成果を得られた、栄建設株式会社 代表取締役社長 佛田 尚史 様、広報担当 東海 結季菜 様にお話を伺いました。

「ネタもと」導入前の経営課題・悩み

私は2代続く土木建設業の次男として生まれましたが、家業を継ぐことは考えず、大手アパレルメーカーに就職し、営業職として働いていました。2000年に父親に呼び戻される形で栄建設に入社し、2012年に代表取締役副社長、そして2017年に社長へと就任しました。土木建設業の経験がないまま事業承継したこともあり、就任当初は「会社の将来が不安だ」と言って離職していく社員もいました。田舎ですから、周囲からも「土木の経験がない人間が社長になって、栄建設は大丈夫なのか」といった噂が立つ状況でした。

私たちの業界では、工事を受注するためには現場に配置する人員が必要であり、人がいなければ売上拡大は見込めません。しかし、先代までの人材採用は「人を増やす」という発想が乏しく、当時は人が増える要素がまったくありませんでした。業界の中でも、弊社規模では新卒採用ではなく経験者である技術者の中途採用が中心だったのですが、私はそのやり方ではもう生き残れないと感じ、採用は「人を育てる」という方針へ切り替える必要があると考えていました。

また、土木工事にもさまざまな種類がありますが、私たちが最も得意としていたのは「道路メンテナンス」でした。そこで私は道路メンテナンスを事業の主軸へ切り替える判断をしたのですが、社内からは強い反発がありました。弊社の成り立ちが農業土木であるため、「その礎をやめるとはどういうことだ」という意見が根強く、そのことが人の離職につながった場面もありました。

さらに、社員に対して私の考えが伝わりづらいという課題もありました。私が提案するアイデアが突飛だということもあって理解を得られにくく、「ちょっと待ってくださいよ。本当にそんなことできるんですか」という反応が多かったのだと思います。具体的に行った取り組みの一つに制服の刷新がありますが、Tシャツ一枚とっても、作った当初は誰も着てくれませんでした(笑)。このように、社内改革を進めようとしても、なかなか浸透しづらい環境だったのです(佛田様)

ネタもと」導入前の広報PR活動状況

以前は、私自身が一人で広報を担っている状況でした。「社長ひとり広報」のような感じです。実際、他の会社でも私と同じように一人で対応している中小企業は多いのではないかと思っています。弊社のような事業規模が10~15億円ほどの会社では、広報に限らず法務なども含めたバックオフィス機能にリソースを割くことが難しいのです。だから私は、プレスリリースを書き、自分でメディアに持ち込むなど、いわば勝手に広報を行っていました。しかし、それが非常に手間で、そこに労力が取られてしまうと別の業務に時間を割けなくなるという苦労もありました。

世の中に情報を発信していかなければという思いはずっとあり、自社のレーシングチームのSNS運用なども行っていましたが、十分に発信しきれてはいませんでした。2021年ごろには会社のオリジナルキャップを製作しました。アパレルメーカー出身の私としては「ダサいのはよくない」と考え、業界のイメージアップを目指して、わかりやすいデザインを意識して作ったのですが、それを見た建設系の任意団体の方から「佛田君は建設業をバカにした格好をしている」と言われたこともありました。悔しかったですが、これをバネに絶対頑張ろうと思いました。

しかししばらくすると、若い世代を中心にキャップを被ってくれる従業員が増え、そのうち“安全大会”の後の打ち上げなどで、従業員たちと飲食店に行った際に、地域の人たちから「かわいい」「いいね」とキャップを褒めてもらえるようになったのです。そうしたら、従業員の反応も一変し、みんな被ってくれるようになりました。このキャップの取り組みは、ひとつのブレイクスルーになったと思います。しかし、新しい取り組みが社内に浸透するには、やはり時間がかかるなということも実感しました(佛田様)

「広報PR活動」を重視するに至った理由

正直に申し上げると、最初から「広報PRに取り組もう」と明確に決めていたわけではありません。むしろ、ネタもとさんと取り組みを始めてから、メディアセミナーに参加したり、実際に取材を受けたりする中で、メディアの方々に鍛えられながら、徐々にPRを経営資源の一つとして捉えるようになっていったというのが実情です。

そもそも、私が経営において「デザイン」や「PR」といった従来の経営資源以外の要素に注目するようになったきっかけは、2018年に経済産業省が発表した「ふるさとデザイン宣言」「デザイン経営」宣言という政策提言でした。この提言は後に、地域文化を支える中小企業の課題を解決し、地域課題にアプローチする実践型人材育成事業「ふるさとデザインアカデミー」に発展したものですが、当時、私はこの政策提言について少し勉強する機会がありました。その内容を簡潔に言うと、一般的な経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」に「デザイン」をプラスすることで収益が上がる時代になる、ということです。わかりやすい例で言えば、ダイソンのような企業がまさにそうですよね。

私はこの提言から「ローカルの中小企業こそ、デザインを経営資源として捉えていくべきだ」という考え方のベースを学びました。これが、すべての始まりだったと思います。以降、私は「デザイン経営」を意識した取り組みを続けてきました。制服の一新、モータースポーツへの参入など、業界の常識から見れば突飛に思われるかもしれない施策も、すべてこのデザイン経営の考え方に基づいて実行してきたものです。そうした取り組みが少しずつではありますが注目されるようになり、メディアの方々からもお声がけをいただくようになっていきました。

そして、取材の機会が少しずつ増えていく中で、私自身が大きく変化していったのを実感しています。メディアの方々は、報道におけるエビデンスの重要性や、ニュースフックといった専門的な視点を教えてくださいました。何度も取材を受けていくうちに「ちゃんと明確なエビデンスを提示しないとダメだな」と気づかされ、対応力が自然と高まっていったこともありました。特に印象的だったのは、メディアの方からの質問を通じて、自社のいろいろなイメージが言語化され、より具体的になっていくという体験でした。漠然と「こういうことをやりたい」と思っていたことが、取材を受ける中で明確な言葉になり、それが次に何をやるかという戦略にもつながっていく。メディアと話すことは、本当に経営にとってプラスだなと実感しています。

そうした経験を積み重ねる中で、PRの重要性を改めて実感するようになりました。ちょうどその頃、ネタもとの本村社長がセミナーでPRについて語られることも影響を受けました。私たちはまず「デザイン」を経営資源として取り入れてきた。それが一定の成果を上げた。ならば次は、「PR」も経営資源として取り入れていこう。そう考えて、広報活動に積極的に動き始めたのです。

ちなみに、採用活動については、当時は一般的な求人広告やハローワークを利用しても、全く人が来ない状況でした。学校とのつながりもそれほどなく、以前からの中途採用中心の名残で、社員が知り合いを引っ張ってくる、いわば口コミに頼った採用が主流でした。私は以前、ファッション業界で働いていた経験があります。百貨店に行くと、同じフロアに販売員さんが何十人もいますが、その全員が自社の販売員というわけではなく、メーカーから派遣されてきている人たちが集まっています。そういう環境では、引き抜きとまでは言いませんが、人材の流動性が高く、「あなたと一緒に仕事したい」と言って来てくれる方もいました。

私は幸い、お母さん世代の販売員さんたちに人気があったので、そうした人のつながりで人が集まってくる経験をしていたのです。その経験から、人を見つける方法として、人と人とのつながり、つまり「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえる関係性を作ることが、意外と一番効率がいいのではないかと考えるようになりました。そして、それを実現するためには、会社や経営者自身が外に向けて発信し、認知され、信頼される存在になる必要があります。そこでもやはり、PRの重要性が浮かび上がってくるわけです。

つまり、デザイン経営から始まった私の取り組みは、メディアとの接点を通じて自然とPRの重要性へとつながっていった。それは計画的に「やろう」と決めたというよりも、実践の中で必然的にたどり着いた結論だったと言えます(佛田様)

レース中の「公団ちゃん」

数あるPR支援の中で「ネタもと」を選んだ理由

ネタもとの話を聞いてみようと思ったのは、PR会社自体は地方にもありますが、ネタもとのようなアプローチをする会社は、少なくともこの地域にはなかったからです。何度も連絡をいただき、その熱意に「一度話を聞いてみるか」という気持ちになったのです。当初、契約の決め手となったのは、プラットフォーム、つまり「ネタもとサイト」の機能でした。地元でローカルメディアには少しずつ取り上げていただけるようになっていましたが、ローカルメディアだけでは限界があります。情報発信を全国に広げていきたいと考えていたので、メディアが欲しい情報を探すコンテンツ「リサーチ」などを通じて、全国のメディアと接点を持てるという点が魅力的でした。

しかし、それ以上に大きな決め手となったのは、ネタもとのサービスが「PR代行」ではなく、将来的に自社内に広報体制を確立させるという「自走化」モデルである点でした。これが本当に良いなと思ったのです。それまで私が一人で行ってきた広報活動を、私自身が従業員に教えたり、やらせたりするのは時間もかかりますし、正直なところ従業員側も「社長から言われたからやる」となると負担を感じてしまうと思っていました。それに、私が教えるとなると、従業員も「めんどくさい」と感じるでしょう。

だからこそ、外部のノウハウのあるプロの広報トレーナーが一から伴走してくれて、自社に広報体制を作っていけるというネタもとのサービス内容には、大きな価値を感じました。実際、この辺りの田舎でPRのコンサルティングを受けられる機会はほとんどありません。それだけの投資をして、それが社員教育として身になればいいのではないか。そういう理由づけにもなりました。

そして何より、私が一人でやっている状況を脱却する必要がありました。社長一人が広報を担っている状態では、会社として持続可能ではありません。組織として広報機能を持つためには、外部の専門家の力を借りて、社内に広報体制を構築していく必要があると考えました。そのようなPR支援会社は地方にはなかなかありません。だからこそ、ネタもとのような「自走化」を目指すサービスは、私たちのような地方の中小企業にとって、非常に価値があると判断したのです(佛田様)

「ネタもと」を利用し得られた成果

メディアにたくさん取り上げられるようになったことで、経営層や各現場担当者など、広報担当者以外の従業員の広報に対する意識も高まってきたと思います。それぞれの従業員が「どうしたら取り上げてもらえるようになるか」という発想を持つようになり、広報に協力的になりました。取材のために、わざわざ休みの日に重機を動かしに来てくれた従業員もいます。

契約当初はネタもとのプラットフォームに魅力を感じ、メディアからの「リサーチ」に情報提供することを通じて掲載を獲得するという成果を期待していました。その成果はもちろん十分にあったのですが、「プラットフォームを使って取材を何件獲得しました」という話ではなく、メディアに取り上げられることを通じてインナーブランディングが強化され、従業員たちが「うちの会社はいい会社なんだ」という意識を持つことこそ、広報による最大の成果だと思っています。

メディアの報道は、会社の良さを客観的に説明してくれます。それは、代表である私がどれだけ「こんないいことをしているんだ」と言うよりも、説得力を持って従業員に伝わるのです。あの制服も「こんなの誰が着るんだ」と言われていましたが、メディアに取り上げられることによって、今では60歳過ぎのベテラン従業員まで着てくれるようになりました。

建設産業は、小さい企業体の組合としての集まりで、協会や組合全体で活動し、発注者と予算などの話を進めていきますが、そうした場面でも弊社は自社単体で発信できる体制が整っていました。今では振興局長とPRについて意見交換をさせていただくこともあります。このように、広報活動は直接売上につながるわけではありませんが、活動を通じて世間が非常に協力的になってくるのを実感しています。会社の向かいにお住まいのおばあちゃんから「テレビ見たよ」と声をかけられたり、タクシーを依頼した際にコールセンターの方から「応援しています」と言われたりするようになったことも、とてもうれしく思っています(佛田様)

私はローカルメディアの担当者様から、「こんな取り組みはやっていませんか」といった形で直接ご連絡をいただけるようになりました。たとえば今夏は、熱中症対策についてお問い合わせをいただき、地元紙の地域版に弊社の取り組みが掲載されました。広報活動開始当初と比べ、メディアの方々が気軽にご連絡をくださったり、気さくにお話ししてくださるようになったりして、関係性が深まってきていると感じています。

また、ネタもとで開催されているオフラインのメディア交流会では、ローカルでは出会えないメディアの方々ともたくさんお話しする機会がありました。はじめはイメージで「みなさん、ドライな感じなのかな」と不安に思っていましたが、とてもあたたかく対応いただき、取材にもつながりました。何より、多様な媒体の記者の方々と交流することで、多くの学びを得ることができました(東海様)

取材や交流を続けていけば、顔なじみのメディアの方も増えていきます。単発で取材を受けているだけでは、深い関係になる前に終わってしまいますよね。メディアの方々との関係性の構築は、とても大事だと思います。

今では、一年密着取材してくれているテレビ局の方々もいらっしゃり、そうしたお付き合いはやはり感慨深いものがあります。ネタもとを利用することで、PRノウハウの蓄積も格段に上がってきたと感じています。取材に対してどう答えるか、どうしたらネタを拾ってもらえるかといった発想が、広報担当者だけでなく、従業員にも波及してきていると実感しています(佛田様)

社内の変化でいえば、他にもレクリエーションやスポーツの輪が広がるなど、従業員の発信から会社をより良くしていく取り組みが生まれています。たとえば弊社にはバスケットゴールがありますが、それは若い社員の要望によって設置されたものです。それから、弊社のレーシングカー「公団ちゃん」を活用して会社のPRをしようと考えた従業員たちが、国道沿いの事務所のそばに「公団ちゃん」をモチーフにした看板を立ててくれました。ほかにも、道路の交通安全旗も「公団ちゃん」を使ったデザインで作成するなど、従業員たちがどんどんアイデアを出し、率先して行動してくれています(東海様)

その従業員の活動からさらに広がっているのが、看板を見た人たちがSNSに投稿してくれ、「聖地巡礼」のようなブームも起こったことです。安全大会を一般公開するというのも従業員からの発案でしたし、一人ひとりが「社会性」について考えるようになってきたと思います(佛田様)

従業員が作った「公団ちゃん」をモチーフにした看板

具体的に取り組んだこと

プレスリリースの作成をしたこともなく、プレスリリースが会社の「公式文書」であるということも知らなかったため、ネタもとのオンライン講座や広報トレーナーのレクチャーを通じて、一から学んでいきました。報道資料を書く上での表現や言い回しも、とても勉強になりました。

メディアからの「リサーチ」に答える文章を作成するのも、はじめは大変でしたが、広報トレーナーがきめ細かくサポートしてくださったので、いろいろな書き方に挑戦できました。そうした「リサーチ」を通じて、オンライン取材の機会なども得ることができたので、着実に成果につながっているのだと思います。

また、基本中の基本ではありますが、メディアの方々へのご連絡はスピーディーに行うことを徹底しています。メディア掲載情報については専務が収集し、掲示板で社内共有しているのですが、その際に必ず「従業員の〇〇の取り組みが、掲載につながりました」というコメントを付けてくれています。私もその専務の姿勢から学び、自分が掲載情報をお知らせする際には、「従業員のみなさんの協力があって活動ができていること」に対する感謝の気持ちを必ず伝えるよう心がけています(東海様)

実はネタやテクニックに走りすぎて失敗した反省もあります。福利厚生として、「新入社員が家族に花束を贈る」という取り組みを、ネタもとのセミナーで聞き、私たちの地域は花束に使う観賞用ひまわりのシェアがNO.1で、ボーナスも7月であるため、「新入社員が初めてのボーナスで家族にヒマワリの花束を贈る」という企画を打ち出したんです。ヒマワリの生産地としての認知拡大にもつながるかと思ったのですが、結果はイマイチでした。その時「あまりこねくり回したらダメなのかな」と反省したのです。信念のなさがメディアの方々にも伝わったのかなと。あまりテクニックに走り過ぎず、自分たちの信じていることをきっちり伝えていった方がいいんじゃないかと感じました。やはり情熱がないとダメですね(佛田様)

ネタもと独自の「PR活動診断」

ネタもとでは、定期的に独自の「PR活動診断」を実施し、お客様の「自走化状況」を可視化・数値化することで、成果が見えづらい広報活動の「効果検証」を可能にし、自走化実現までの道のりをしっかりとサポートしています。

初回結果「27点」
直近「69点」

これまでに掲載された主な媒体名

・北海道新聞
・47NEWS
・北海道新聞デジタル
・北海道建設新聞
・週刊みなみ空知
・毎日新聞
・5時ナビ
・マンデーモータースポーツ
・プレス空知
・NHK
・dメニューニュース
・gooニュース
・FNNプライムオンライン
・&Race

掲載されるために工夫したこと

ネタもとと活動を進めていくことで、私の意識が大きく変わったと実感しています。常に「何か(情報を)出さなきゃ」というマインドになっていきました。プレスリリースを作成するためのネタづくり、情報の切り口を考える、タイミングを見計らう…そうした一連のプロセスが、日常的に頭の中を巡るようになったのです。情報を出さなければ、メディアに取り上げてもらえるはずもありません。当たるも八卦、当たらぬも八卦ではないですが、まずは情報を出さないと当たらないという実感があります。今では、さまざまな取り組みや季節の話題など、「常にネタを抱えている」状態になっています。季節ネタも含めて、タイミングを逃さないように意識するようになりました。

たとえば、友達が飴屋さんをやっていまして、一緒に熱中症対策用の塩飴を開発したのですが、シーズンが過ぎたから「これは来年に持ち越そうか」という判断をしたり。そのように、タイミングとネタの組み合わせを常に考えるようになりました。もともとアイデアを持っているタイプではありましたが、実際にそれを外に出していく中で気づくことがたくさんありました。「このようなネタの切り口の方が伝わるんだな」とか「このタイミングだとメディアが興味を持ってくれるんだな」とか。そのようなコツが、だんだんわかってきました。これはネタもととの広報活動を通じて、とても良い「訓練」になったと思っています。

そして、広報活動の成果として最も大きいと感じているのは、広報担当者ではない従業員からもどんどん意見が出るようになったことです。「こういうことをやったら面白いんじゃないですか」「これって発信できますよね」といった提案が、現場から自然と上がってくるようになりました。バスケットゴールの設置などは、ある意味「福利厚生」の新設ですよね。これは若い従業員からの要望で実現したものですが、こうした提案が出てくるようになったこと自体が、大きな変化だと思います。従業員たちが「会社をより良くしよう」「自分たちの働きやすい環境を作ろう」と考え、それを実際に提案し、実現していく。そういう文化が生まれてきています。

そして、その取り組みがまたメディアに取り上げられ、それを見た他の従業員がさらに新しいアイデアを出す。掲載が社内に影響を与え、新たな社風の中での取り組みがまたネタになっていくという、好循環が生まれていると実感しています。この好循環は、単に社内だけにとどまりません。広報活動を続けることで、地域との関係性も大きく変化してきました(佛田様)

私自身、地域のお祭りや市内のイベントなどに参加する機会が多いのですが、そうした場で地域の方々から「栄さん、いろいろなことをやっていますね」「テレビ、見ましたよ」と声をかけていただくことが増えました。以前は、イベントに参加していても特に話しかけられることもなく、ただ参加しているだけという感じでした。しかし今は、報道を通じて弊社のことを知っていただけるようになったことで、地域の方々から気軽に声をかけていただけるようになり、そこから会話が生まれ、コミュニケーションの機会が広がっています。「この間テレビで見ましたよ、頑張っていますね」と言われると、本当にうれしいですし、会社として地域に認知されているんだなという実感が湧きます。

こうした地域の方々とのコミュニケーションの機会が生まれる点も、広報活動の大きな成果だと思います。地域に根ざした企業として、地域の方々に知っていただき、応援していただける存在になる。それが、私たちのような地方の中小企業にとって、何よりも大切なことだと感じています。広報活動は、そうした地域との絆を強める重要な手段になっていると思います(東海様)

どのような企業に「広報PR」や「ネタもと」を勧めたいか

私が自信を持って言えるのは、地方の企業こそ、広報に取り組むべきだということです。これは、私自身が実践してきた中で、本当に強く実感していることです。都会では情報が埋もれがちですよね。東京や大阪のような大都市では、毎日のように新しいニュースが生まれ、企業のプレスリリースも山のように出されています。その中で注目を集めるのは、正直なところ非常に難しいのではないかと思います。しかし、地方からの発信というのは、実はチャンスなのです。何かにつけ、「北海道発」「北海道から」と言われるようになります。地方発の取り組みというだけで、ある種の物語性が生まれるんですね。「こんな小さな町の、こんな会社が、こんなことをやっている」という文脈が、自然とニュース価値を生み出してくれる。これは私が今、身をもって実感しているところです。

しかも、地方の企業がPRをやり始めたら、地域にも定着しやすいのです。ローカルだと、顔が見える関係性の中でビジネスをしているので、メディアに取り上げられることの影響力も大きい。「あの会社、テレビに出てたね」という口コミが、すぐに広がっていくわけです。それに、今はSNSがあります。かつて、地方企業にとって「地方にいること」は弱点でした。情報発信の手段が限られ、全国に向けて発信することが難しかった。でも今は、SNSを使えば、地方からでも全国に、いや世界に向けて発信できる。ローカルの弱点が、逆に武器になる時代なのです。私たちのような人口7万5千人の地域でも、こうして情報を発信し続けることで、全国のメディアに取り上げられるようになりました。

そして、特に強くお勧めしたいのが、建設業の方々です。今、PRを頑張る建設会社も増えつつあります。結構、建設業の皆さんが突然、広報に力を入れ始めているんですよ。しかし、正直に言うと、建設業は広報の基本があまり浸透していない業界だと思います。だからこそ、ネタもとのような専門家の伴走のもと、一からノウハウを学んでいくと、効果的な情報発信ができるようになると思います。

建設業界には、独特の歴史的背景があります。もともと、広告・広報にお金を使う業種ではなかったんですね。建設業の市場規模は、官民合わせて66兆円。これは自動車業界や金融業界に並ぶほどの、非常に大きな規模です。しかし、一般の企業が売上の1~2%相当を広告費に充てるのに対し、建設業では、大手の上場しているゼネコンでさえ、売上の0.03%しか使わないのです。上場していないローカル企業の広報費なんて、もう本当に微々たるもの、ほとんどゼロと言ってもいいくらいです。なぜこんなに少ないのか。それは、業界特有の文化があるからです。「私たちは公共工事で、税金で食べさせていただいているのだから、目立ってはいけない」という考え方が、ずっと根強くありました。

でも、今、建設業界は深刻な人手不足に直面しています。若い人たちが建設業に興味を持たない、入ってこない。その大きな理由の一つが、業界の情報発信不足だと私は思っています。業界団体が国や自治体に予算をお願いするとか、そういうアプローチももちろん大切です。しかし、それだけでは不十分です。小さい会社でも、個々の企業が「私たちはこういう新しい取り組みをしています」「こういう働き方改革をしています」「こんなに面白い仕事をしています」ということを、どんどん発信していくべきだと思うのです。

最近、中堅のゼネコンなんかもCMを出すようになってきました。有名なタレントを使ったりして。でも、あれは「広告」、つまりアドバタイジングです。お金で枠を買って、メッセージを流している。それはそれで一つの方法ですが、莫大な費用がかかります。一方、私たちがやってきたのは「広報」、つまりパブリックリレーションズです。メディアとの関係を構築し、取材を受け、記事として取り上げていただく。これは、広告費をかけずに、むしろメディアの信頼性という価値を借りながら情報を発信できる方法です。

私たちのような地方の小さな建設会社が、いきなり何千万円もかけてCMを打つなんて、現実的ではありません。しかし、広報なら、工夫次第でできる。しかも、その効果は、単なる認知拡大だけでなく、社内の意識改革、地域との関係強化、採用力の向上など、多岐にわたります。本当に、地方の建設業こそ、PRに取り組むべきだと思います。そして、ネタもとのような「自走化」を支援してくれるパートナーと一緒に、一歩ずつ進んでいくことをお勧めします(佛田様)

私自身、広報担当として働いてきた中で、地方企業だからこそできること、地方企業だからこそ伝わることがたくさんあると感じています。大企業のように大きな予算はなくても、地道に、誠実に、自分たちの取り組みを発信し続けることで、必ず応援してくれる人が現れます。特に建設業は、これから大きく変わっていける可能性を秘めた業界だと思います。私たちの取り組みが、少しでも業界全体の変化のきっかけになれば、とてもうれしいです(東海様)

今後のさらなる目標

おかげさまで、弊社は多くの方にご支持いただけるようになりました。ここまで来られたのは、本当に多くの方々のおかげです。今後も社会資本整備事業者として、建設業を通じて地域に貢献していきたいと考えています。

しかし地域を見渡すと、人口減少、高齢化、インフラの老朽化、担い手不足といった課題が山積しています。こうした課題に対して、私たち建設業者として何ができるのか。そう考えたときに、やはり「人の力」が鍵になると思いました。そこで現在、建設業に特化した人材派遣会社の設立に向けて動き出しています。新しい会社を設立し、グループとしてより地域に貢献できる体制を作っていきます。

私は、ローカルにこそ100億円規模の企業が必要だと信じています。ある程度の事業規模がなければ、地域にも十分な貢献ができません。一人の経営者が食べていくだけのレベルでは、雇用も生まれないし、税収も増えないし、地域経済への波及効果も限定的です。でも、より多くの人を雇用し、より大きな経済活動を生み出すことができれば、それが地域全体の活性化につながる。弊社は今後、人材派遣会社の設立を通じて事業を拡大し、グループ全体として、より一層地域に貢献できる体制を構築していきます(佛田様)

私は広報担当として、自社のPRだけにとどまらず、地域の建設業界全体のPRを盛り上げていきたいと考えています。建設業は社会のインフラを支える重要な仕事ですが、その魅力が十分に伝わっていません。だからこそ、一社だけではなく、地域の建設業界全体で情報発信していくことが大切です。

「建設業って、こんなにやりがいのある仕事なんだ」「こんなに地域に貢献しているんだ」「こんなに働きやすい環境になってきているんだ」そんなメッセージを業界全体で発信できれば、きっと若い人たちも興味を持ってくれるはずです。私たちの取り組みが、業界全体の変化のきっかけになり、地域の発展につながる。そんな未来を描きながら、これからも広報活動に取り組んでいきます(東海様)

今回の事例から読み取れるのは、地方の中小企業における広報PRの戦略的価値です。栄建設様では、社長自ら制服やレーシングカー、キャップなどを通じて企業のメッセージやイメージを伝える「デザイン」を経営資源として取り入れ、広報を通じて社内の意識改革や協力体制の強化、地域との関係性向上、採用力向上など、多面的な成果を実現されました。

地方発という強みを活かした情報発信は、全国のメディアに取り上げられるだけでなく、従業員の自発的な発信を促し、社内の好循環も生み出しています。本事例は、地方企業や地域密着型中小企業、従来広報を重視してこなかった業界にとって、広報を経営戦略として活用する具体的なヒントになるのではないでしょう。

お忙しい中、快くインタビューにご協力くださった、栄建設株式会社 佛田 様、東海様、貴重なお話をありがとうございました。

参考:栄建設株式会社 様:56名(2025年11月現在)


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