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3度の危機から脱出!不撓不屈の女社長

3度の危機から脱出!不撓不屈の女社長

社員が大量に同業他社に引き抜かれ組織は崩壊。
自身のコミュニケーションのあり方を見直し
独自のメソッド開発で起死回生

営業スタッフの大量離職、アプリへの投資で倒産危機、コロナによる大打撃・・・

3度の経営危機に陥りながらコロナ禍で206%の成長を果たした富山県在住の女社長、株式会社ジェイ・バン 稲場真由美 代表取締役。幾度となく訪れた危機的状況の中で稲場代表を奮い立たせたのは不撓不屈の精神だった。

最初の経営危機を機に稲場代表が編み出したのが、性格タイプ別コミュニケーションメソッド「性格統計学」だ。

稲場氏が代表を務める株式会社ジェイ・バンでは、同氏が16年間のべ12万人の統計データを体系化した「性格統計学」をもとに、職場や家庭で抱える「人間関係」の悩みを「伝え方・受けとめ方」で解決する研修やコンサルティングを提供している。

稲場代表自身の人間関係の失敗を改善した経験をアプリに落とし込み商品化。さらにSaaS・クラウド・サブスク、MA、YouTubeといったITや最新のマーケティングを活用し、一人経営のリモートワークで最先端のDXを実現している。

度重なる苦境の下、どのようにして「性格統計学」は生み出されたのだろうか。

誕生のきっかけは、社員の大量離職

当時、女性向け高級下着の販売代理店を展開していた稲場代表。人間関係の不和により営業スタッフが大量に同業他社に引き抜かれ組織は崩壊。年商が10分の1に激減するという経営危機に陥った。

この危機的状況が自身の「コミュニケーションのあり方」を見つめ直すきっかけとなり、職場や家族、友人との付き合い方をデータとして残すようになったところ、タイプに応じて伝え方や言葉の捉え方が違うことに気がついたのだという。

「集めたデータを体系化、スタッフと共有し性格タイプ別のコミュニケーションを実践したところ、スタッフが自発的に動くようになり、4年で28倍(年商2億8000万円)と組織崩壊前より大幅に業績が改善しました。

この経験から、「人間関係に悩む多くの人に、このメソッドを伝えたい!」という使命を感じた稲場代表は、「性格統計学」を体系化。今後、人間関係やコミュニケーションが社会課題になり、このメソッドは需要が高まると確信。地方の小さな会社が生き残りをかけて、クラウドアプリ化を決意。幸運にもビジネスモデル特許を取得でき、本格的に性格統計学をビジネスに活用するために動き始めた。

アプリ開発への投資で、倒産の危機に

性格統計学を活用した研修サービスを立ち上げた稲場代表に、またしても試練が降りかかる。

サブスクリプション形式のアプリ開発に着手するものの開発が遅れ、コストの増加が原因で会社は再び倒産の危機に直面。人員の削減とオフィスの縮小を余儀なくされた。

しかし、稲場代表は不撓不屈の精神で、逆境をチャンスに転換。最少の人員で社内業務・顧客対応を自宅で行うテレワークシステムを構築するため、一人経営でありながらSalesforceを導入。

その結果、時代に先駆け、リモートワークとフルクラウドを活用した「DXオフィス環境」を社内で実現。

国が行う「中小企業クラウド実践大賞全国大会」で入賞するなど、DXを実現した企業としても注目されるようになり、2018年6月には、アプリをリリースすることができ、富山県内の中小企業や、ヤマト運輸に導入されるなど、多くの企業から注目を集めることになった。

苦境に立たされたとき、現状を直視し「この状況下で、今何をすべきか。何ができるか」に集中し実行できる経営者は、そう多くはない。稲場代表は、それを愚直に実行することで2度目の危機からも奪還を遂げた。

3度目の試練は、コロナによる大打撃

ようやくビジネスが軌道に乗り、NHK全国ニュースなどメディアからも注目されはじめた矢先、3度目の試練が稲場代表を襲った。

それまで順調だった企業研修が軒並み中止になり、3度目の経営危機に陥りました。

そんな時、フジテレビの情報番組「ノンストップ!」で「わが子に合った言葉がけ」の特集が組まれ性格統計学を使った子育ての悩みを伝え方で解決した事例が放送されました。

まさに起死回生!7日間で個人のお客様の「伝え方ラボ無料体験」が5700名超え、LINE登録も2300名超えなど大反響を呼び、会社にとっても大きなターニングポイントとなりました。

より多くの人に知ってほしいという想いで取り組んできた広報PR活動でメディアに露出することができ、3度目の危機から救われたのだ。

テレビ出演により大反響を得たと同時に、コロナ禍で人間関係に悩む人がとても多いということを知ることにもなった。

そこで稲場代表は、個人向けにWebで性格統計学を学べるeラーニングを開発して販売することに着手。するとこれが大ヒットし、売上が昨対比206%を記録。V字回復を果たした。

フレキシブルな組織の実現に向け始動

このように、度重なる逆境から這い上がり、事業を拡大している稲場代表だが、現在は、個人向けの「伝え方コミュニケーション検定」を販売すると同時に、法人向けにリモートワークのコミュニケーションの課題解決のため『伝え方ラボ』を活用した研修やコンサルティングをとおして、多くの人のコミュニケーションスキル向上に貢献する活動を続けている。

新しい働き方という点でも、自ら実践。人生100年時代の多様な働き方を実現するため各分野のプロフェッショナルとして活躍する個人事業主で構成されるチームを作ろうと考え、スタッフは外注や代理店へと切り替えた。

今後は、性格統計学を多くの人に提供する個人・法人の代理店を増やし、長い人生、どんな人でも自分らしく働ける環境を整備しているという。

ピンチを常にチャンスに変え、時代を先取りしてきた稲場代表。その目はすでに次世代の新しい潮流へと向けられているようだ。

現在、取り組んでいる事業内容

<個人向けサービス>
■伝え方コミュニケーション検定講座

<法人向けサービス>
■リモート エンゲージメントプログラム
 企業のリモートワークにおける従業員エンゲージメント向上をサポートするサービス
■販売代理店の募集・育成
 リモート エンゲージメントプログラムを販売する代理店の募集養成
■伝え方コンサルタント養成事業、自宅起業サポート
 リモート エンゲージメントプログラムを行うコンサルタントの募集養成
■自社は完全テレワーク、リモート営業を実施
 リモート エンゲージメントプログラムの販売・実施体制の整備
■伝え方・こどもマスクプロジェクト
 クラウドファンディング 9/8-10/18

【プロフィール】

稲場真由美(いなば・まゆみ)
1965年生まれ、富山県出身。一般社団法人日本ライフコミュニケーション協会代表理事。株式会社ジェイ・バン代表取締役。自身が人間関係の悩みに直面したことから独自の「コミュニケーションメソッド」を探求し続け、16年間、延べ12万人の統計データをもとに「性格統計学」を考案・開発。このメソッドを「ひとりでも多くの人に伝え、すべての人を笑顔にしたい」との思いから、セミナー・講演・カウンセリング・コンサルティングを通じて普及活動を行う。2018年には「性格統計学」にもとづくマルチデバイス型ウェブアプリ『伝え方ラボ』を開発し、ビジネスモデル特許の取得に成功(特許6132378号)。現在は、企業や自治体、学校をはじめ、法人・個人を問わず『伝え方ラボ』を活用した研修やコンサルティングを行い、多くの人のコミュニケーションスキル向上、人間関係の悩み軽減に貢献し続けている。


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