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メディア掲載は、広報活動の最終目標ではない

メディア掲載は、広報活動の最終目標ではない

PRで得られた大きな収穫は
社会に求められる変革に
対応していく視点を得られたこと

大衛株式会社 代表取締役社長 加藤 優(かとう・まさる)様

創業72年の歴史を持ち、病院で使用する医療材料を幅広く提供する医療メーカー、大衛株式会社
産婦人科領域が強みで、大学病院の産科用品総合シェアは全国No.1と言われています。

「Protector of beautiful life(かけがえのない生命の擁護者)」という50年以上続く経営理念のもと、「水だけぬれコットン」や「オサンパット」など、製品評価の極めて厳しい医療現場への供給で培った、利用者に優しい安全なものづくりのノウハウを生かし、近年では、女性向けの一般商材(骨盤ガードル、マウスウォッシュ、マットレス、デオドラントクリーム、おむつの防臭袋)など幅広い製品を研究開発している企業です。

今回はネタもと導入から7カ月(取材時点)となる、大衛株式会社 代表取締役社長 加藤 優様に、経営者自ら広報PR活動に注力する理由や得られた成果について詳しくお話を伺いました。

当時の経営課題や悩み

私たちの主力事業は病院向けで、特に産婦人科領域において強みを持っています。しかし、現在の社会課題である少子化の流れにより市場が縮小していることに気づき、これまでのやり方を続けるだけでは衰退し、事業が縮小してしまうと感じていました。

新しいアプローチが必要だと考え、産後のお母さんや一般の女性の悩みを解決できる事業を展開することを決意し、これまでのBtoB事業だけでなく、新たなBtoC領域を強化し、さまざまな製品を提供してきました。

創業72年の歴史があることから、病院側には認知されていましたが、課題としては、一般の方々に広く知ってもらう必要がありました。同時に、強化していたベトナムをはじめとする海外展開についても、日本の医療機器を海外に広げるためには、提供先の医療機器メーカーに対して私たちがどのような取り組みを行っているかを知ってもらう必要があると考えていました。

女性向け商品と海外展開の両方において、私たちの会社を広く知ってもらう機会を増やすことが経営課題でした。

ネタもと導入前の広報活動状況

経営課題は明確でしたが、広報活動の経験はありませんでした。社内では「もっと知ってもらいたい」という共通認識がありましたが、どのように情報を発信すべきか分からず、積極的な行動が取れていませんでした。

広報活動は過去に一度だけ、BtoCの商品を出した際にプレスリリース配信サービスを見よう見まねで利用し情報を発信したことがありましたが、2~3本発信しただけでした。

社内では広報活動を行っているという認識はなく、プレスリリースも商品を売るための一つの手段としか考えていませんでした。結果として、反響が得られず「やる意味があるのか?」とすぐにやめてしまいました。

また、WEB広告は以前から行っており、広報活動を始める少し前にはWEBマーケティングの部門も設立するなど、さまざまな取り組みを始めると、やらなければならないことに気づくことも増え、それに伴い実施したい施策も増えている状況でした。

ネタもとを選んだ理由

広報PRの活動を始めることにしましたが、最初から広報専門の人材を1人採用することにはリスクがあると思っていました。スキルの面もそうですが、スキルがあっても社風に合うかが分からないなどが理由です。

そのときに、先ほどお話したWEBマーケティングの方から「ネタもと」を紹介してもらい、定額でプロの人材と一緒に、ある意味“手軽”に始められることを魅力に感じ、一緒にスタートすることにしました。

PR会社がたくさんあることは知っていましたが、紹介してくれた方はいろいろ吟味して選ぶ方だと知っていたので、その方から「良かったよ」と紹介してもらったことが安心で「ネタもと」を選んだのです。

広報活動をスタート後は、広告では届かなかった層にも、弊社の情報が届くようになってきたと感じています。

ネタもと導入後に取り組んだこと

「広告と広報、PRは違うんだよ」と、WEBマーケティングに強い外部の方から指摘されたことが、広報PRを始めたきっかけです。

その方からは「現代の消費者はバカじゃない。広告は会社が広告費を払っての発信であることは知っている。広報は第三者が社会に紹介すべきと判断した情報で、PRで会社の情報を社会に伝えることが必要。広告も活用しながら広報PRと両輪で進めることが大切」と言われました。

当時、私自身も広告とPRの違いについてよく理解していませんでしたので「そんな感じかな?」という程度の認識しか持っておらず、何をすれば良いのかも分からなかったので、WEBマーケティングの方に相談したところ「ネタもと」を紹介してもらうことになりました。

海外展開や一般向け商品販売においては、営業、広告、ECサイトなど、私たちが医療用品を販売している全てのチャネルで認知度を高める必要があります。認知度向上の取り組みは単一の領域に留まらず、全ての要素に関わる重要な活動だと感じました。

これまで広報PRに取り組んだことがありませんでしたが、何よりも、何も行わないことがマイナスだと感じたため、積極的に取り組む決意をしたのです。

ベトナム法人の社員の皆さん。ベトナムの人々に喜ばれる医療環境を作り上げることが、同社の目標

ネタもと導入後に取り組んだこと

「ネタもと」と広報活動をスタートすることを決めた後、総務と兼任にはなりますが、私と一緒に広報活動を担ってもらうメンバーを1人アサインしました。

私が率先して広報活動に携わった理由は、まず私の性格が「自分の分からないことは他人に任せられない」ということです。広報活動は、会社として初めての取り組みであり、どんな問題がでるか分からない。将来は他のメンバーに任せるにしても、まずは自分が理解していなければいけないと思ったからです。

自社で広報活動を行うには時間とリソースが必要ですので、広報PRの活動を外部に委託することや、担当者に全てを任せることも1つの方法だと思います。ただし、委託先の担当者や自社の担当者が変わると、最初からやり直さなければなりません。

情報発信の「ネタ」は社内にしか存在せず、私が関わることで、社内の理解も深められ、社内の情報をどのように発信するかの「ネタ」を作ることができると思います。社内の知識と理解があることで広報活動を継続できると感じています。

また、コーポレートPRに関しては、情報発信に必要な会社の情報がまとまっていない状況でした。それは社員だけでは分からず、会社のどの情報をどのように発信するかは、社長である私自身がまとめる必要がありました。

さらに「ネタもと」の会員企業用サイトで公開されている、広報ノウハウを学ぶ動画視聴プログラムを活用し、広報について学ぶ時間も取りました。

「ネタもと」のサービスは、広報の自走化を目的としているため、自分たちで主体的に活動することが大切だと思い、手を動かし実践することは意識しました。

「メディアとの接点」における成果

以前は広報活動を行っていなかったため、メディアとの接点はほとんどありませんでした。しかし、ネタもとの『メディア交流会』に参加することで一気に数十件の自社メディアリストを得ることができました。

さらに、プレスリリースの発信や、メディアから届く『リクエスト』へのエントリーを通じて、10件以上の個別取材につながっています。これにより、メディアとの関係性を築くことができたことは明確な成果です。今後は、接点を持ったメディアとの深いコミュニケーションを継続することが課題です。

また、『メディア交流会』や取材を通じて、メディアが求める情報を意識できるようになりました。メディアにどのような情報が取り上げられているか、世の中の話題をキャッチするアンテナを張れるようになったと思います。

私たちはメディアに取り上げられるために事業を考えているわけではありませんが、メディアが取り上げる事業は社会課題の解決に貢献するものが多いため、事業の方向性を考える上で重要な視点となっています。

企業としては売上や利益を上げることは大切ですが、同じくらい大切な社会に求められる変革に対応していく視点を得られたことは、広報活動をスタートして得た大きな収穫だと思っています。

それと、メディア露出の機会が増えることで、他のメディアからの連絡も増えてきています。記事が掲載されることで、しばらく連絡を取っていなかった人々から「見たよ」という連絡をいただいたり、お取引先からも「御社は今こんな活動をしているんですね。ニュースを見ましたよ」との反応が増えてきました。これは広告では実現できなかった効果だと思います。

取材では必ず今後の事業展開について聞かれます。聞かれることで改めて考えさせられることになり、整理しながら繰り返し考えることで、どのような会社を目指すかが、より具体化できました。

「PRのノウハウ」における成果

プレスリリースは以前に数回しか発信しておらず、その時点では広報PRの理解もなかったため、単なる商品の宣伝として自社視点での情報を発信しただけでした。

現在は、メディアとの接点を持つことで、メディアの立場で情報を見ることができ、プレスリリースでは最初に目に入る「タイトル」の重要性を認識できています。どれだけタイトルに力を注ぐか、どのように情報を絞り込んで、目を引くタイトルにするかに注意を払っています。

また、メディアとの接点や、ネタもとPRコンサルタントとのミーティングでのやりとりから、自社の情報を社会、メディアの関心ごととどう結び付けられるか、時事性や季節性などのニュース性があるネタは何かを考えられるようになっています。

スタートから6カ月間、PRコンサルタントに並走してもらいましたが、プレスリリースなど、アウトプットに対して都度“ダメ出し”をしてもらいながら実践したことで力がついてきたと思います。

例えば、私たちのマットレスのプレスリリースを書いてみたときのことですが、その商品は私自身が開発に携わり、優れた商品であると確信していました。最初は「医療メーカーが開発した快適なマットレス」という形で興味を引けると思っていましたが、PRコンサルタントとの打ち合わせで「マットレスは世の中に五万とある。市場にある商品と比較して何が新しいのかを言語化できないと伝わらず、ニュース性がないと感じられてしまう」と指摘されました。

企業秘密で言えない項目もある中で、どのように言葉で伝えるかを考え、表現することが重要であることを認識し、意識するようになっています。

基本的なノウハウを学んでも、経験が不足しているため、自分たちだけでの活動は難しいと思います。PRコンサルタントという社外の専門家から率直なフィードバックやアドバイスを受けることはとても重要でした。

実際にアドバイスを受けて修正した『リクエスト』は、メディアの関心を引く確率が高くなり、経験豊かなプロの視点やノウハウは異なると感じました。そのレベルに到達するのはいつになるか…と思いますが、やろうと思ったらそこまでできるということを知り、目標になったと感じています。

また、プレスリリースの質にこだわらなければ何本でも書けると思いますが、プレスリリース1本にどれだけ入魂するかのレベルも知ることができたと思います。

その他、私はできるだけ月1回開催されている「経営者のためのPR講座」に参加しています。実際の講座に参加することで、本を読むだけでは得られない生の声を聞くことができます。具体的な失敗例などからPRのノウハウを学ぶだけでなく、経営者として参考になる情報も得られています。

「広報担当(ヒト)」における成果

担当者には主にプレスリリースの作成を任せていました。自社が発信したい情報とメディアが求める情報を結び付ける方法や、ニュース価値を高めるための表現方法など、情報発信力が向上したと思います。

実際にネタもとの「PR活動診断」では、情報発信力の点数がゼロから大幅にアップしました。

また、兼務している総務では、社内向けの業務を担当し、社内報も発行していましたが、広報の視点から社外やメディアを見るようになったことで「視点を変えると社員に対しても伝わり方が変わる」といった変化が生まれています。広報で得たことを能動的に他に生かし、今までの仕事も進化していると感じます。

今回、担当者には総務業務は変わらず、そこに広報業務を追加しましたが、社員自身も効率化を考えつつ、両方の仕事のレベルアップに取り組んでくれていると思います。

現在、私自身も慣れてきてスキルとスピードを向上させることができているため、当面は同じように関わりながら、さらに加速したいと考えています。

トライアンドエラーが成功のポイントであり、そのためには時間を確保する必要もあります。私はだいたい月に10時間以上は広報に時間を使うようにしています。

社内で社員と打ち合わせする加藤社長

掲載されるために工夫したこと

プレスリリースやリクエストのタイトルはニュース性を高めるために工夫しました。

当社は創業70年の医療メーカーであり、事業承継などのポイントがあるため、興味を引くテーマを見つけてそれを武器にすることに意識を向けています。

具体的には、リクエストでマッチングされなかったエントリーに対して、次回同様のテーマでエントリーする際には、表現や具体性など、メディアの特性や求める情報に合わせて見せ方を工夫しています。

メディア研究の重要性は「ネタもとサイト」の動画講座を通じて理解していましたが、そこに十分な時間を取ることができませんでした。そこで、担当のPRコンサルタントにメディアの特性を定期的に教えてもらうなど、サポートを有効に活用しました。

今後は、開発する商品においても、広報PRの視点で “社会を意識した商品開発” も進めていきたいと思っています。

掲載された媒体の一例
・ENCOUT
・Yahoo!ニュース
・日刊ゲンダイ(連載 語り部の経営者たち)
・朝日新聞
・日経MJ  など

どのような企業に「ネタもと」を勧めたいか

BtoCの会社だけでなく、採用に困っている企業は、コーポレートPRに取り組まれると良いと思います。

弊社は採用を主目的としてコーポレートPRを行っているわけではありませんが、結果として採用にもプラスの影響があり、PR活動によって会社の認知度を広げることが採用につながると感じています。

また、通常、取引先の情報を調べる際にはインターネットを活用することが多く、会社の情報や発信内容、メディアでの紹介などから会社の姿勢を知るようになります。

弊社の場合、メディア掲載を通じて他のメディアの目に触れ、次の取材オファーにつながっています。メディア掲載は広報活動の最終目標ではありませんが、情報発信を継続していくとwebサイト上に情報が積みあがり、認知獲得のチャンスが広がるという武器になっています。

これまで広報活動をされていなかった会社も情報発信から取り組むと、その1つ1つの情報が会社の財産になってくると思いますのでお勧めしたいです。

今後の取り組みについて

弊社では、今後伸ばしていきたい事業が3つあります。

まず、ベトナムでの事業展開です。現地には既に弊社の法人がありますが、医療がまだ進んでいないため、日本の高度な医療機器や現地に求められている医療機器を提供していきたいと思っています。そのためには、協力してくださる医療メーカーとの連携を密にし、実現に向けて協力していきたいと思っています。そして、ベトナムの人々に喜ばれる医療環境を作り上げることが目標です。

次に、少子化の中で培ってきた知識とお客様のニーズに基づいた商品開発の力を活かし、BtoC市場において手ごろな価格で高品質な商品を提供していきたいと考えています。具体的には、現在急成長中の骨盤ガードルブランド「キュリーナ」を活かし、30〜50代の女性の悩みを解消する製品の提供を強化していきます。

そして、最後に、主力商品となる病院向けの感染対策商品や手術関連商材の強化も継続していきます。私たちは、30~50代の女性の様々な悩みを解決できる事業、弊社だからできる事業が展開できる会社を目指しています。国内だけでなく、日本企業ならではの取り組みや医療が未発展の国への支援なども進めていき、社会的に必要とされる存在として存在感を高めていきたいと考えています。


まだ広報PR活動に取り組んでいない企業においては、「取り組むだけの費用対効果があるのだろか…」と不安視される方もいますが、今回の加藤代表のインタビュー内容から、広報PR活動は経営者自ら取り組むべき経営戦略の1つであることや、取り組むことで様々な効果を企業にもたらすことをご理解いただけたのではないでしょうか。

お忙しい中、快く取材に応じてくださった代表取締役社長 加藤様、貴重なお話をありがとうございました。

参考:大衛株式会社 様 社員数220名(2023年5月現在)


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