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「記者クラブ」はルールを守れば怖くない!

「記者クラブ」はルールを守れば怖くない!

こんにちは、株式会社ネタもと メディアリレーションズ部です。

本日は、企業の皆様からよく質問される「記者クラブの活用法」についてお話ししたいと思います。

記者クラブとは、報道各社の任意団体またはその団体に加盟するメディアの記者が常駐している拠点のことを指します。日本新聞協会の定義では「公的機関などを継続的に取材するジャーナリストたちによって構成される取材・報道のための自主的な組織」とのことです。

省庁や行政などの公的機関や業界団体などへの継続的な取材は、基本的にそれぞれの記者クラブに所属する記者のみ行うことができます。

拠点の多くは、各官庁や自治体などの管理する施設内に設置されています。例えば東京都庁内に設置されている記者クラブには、読売新聞・朝日新聞ら5大紙やNHK、民放キー局など、新聞・テレビ・ラジオからなる20社の担当記者が常駐しています。

各記者クラブは、その拠点によって担当ジャンルが分かれています。例えば情報通信に関わる情報は総務省記者クラブ、交通や不動産に関わる情報は国土交通省記者クラブの担当となります。

せっかくこうした組織があるのなら、企業広報に有効活用したいものですよね。

しかし記者クラブとは本来、その拠点の官庁などを取材することを目的としています。企業など外部からの情報提供を受け付けていない記者クラブもあります。

ですので、仮に情報提供ができる場合でも、必ず守らなければならないルールがいくつかあります。

ルール①:【最重要】社会性・公共性の高い情報に限ること

記者たちが何のために記者クラブに常駐しているのかというと、「公的な情報を受け取り発信するため」です。

単なる新商品や新サービスの告知は、記者たちにとって無用です。さらに言えば、そうした広告宣伝的情報を記者クラブに持ち込むという行為そのものが、記者クラブの存在意義を理解していないとみなされ、嫌われてしまいます。

報道メディアに求められているのは、自社をアピールする情報ではなく、社会性の高い情報です。特に記者クラブにおいては、それが絶対条件です。

広告的な内容のプレスリリースを届けてしまうと、良くても無視、悪くすると記者クラブからお叱りを受け、最悪は今後の出入りをお断りされてしまうリスクがあります。

ルール②:情報に該当する記者クラブに配布する

前述の通り、記者クラブにはそれぞれ扱う情報のジャンルが決まっています。ジャンル外の情報の持ち込みは迷惑行為となってしまうので、お気を付けください。

ルール③:加盟する全メディアに同じ情報を提供する

よく企業様から「記者クラブで〇〇新聞だけに情報提供したい」「テレビだけにアプローチしたい」といった、情報提供先を限定したご相談をいただきます。しかしこれは記者クラブのルールに反します。必ず加盟メディア全社に対し、同時一斉に公平な情報提供をしましょう。

ルール④:情報解禁の指定はNG

一方的に「本内容は〇月〇日以降に情報解禁します」と書いたプレスリリースを配布するのは、大変失礼な行為です(記者クラブに限りませんが)。

情報解禁日時があるプレスリリースは、情報解禁後に配布するか、記者クラブに事前にご相談ください。

厳しいですね!

ですので実は、私は企業様には記者クラブの活用を積極的にお勧めはしていません・・・。
「この情報に高い社会的意義があるか否か」を発信者が客観的に判断するのは、なかなか難しいからです。

特に東京の省庁の記者クラブは、いつでもかなりピリピリしています。拠点の省庁だけでも毎日大量の発表があり、外部から持ち込まれる情報に割く時間があまりないからです。
(地方の県庁内にある記者クラブはもう少し柔らかい空気が流れています。ラッキーなタイミングであれば、話を聞いていただけることもあります)

さて、では実際に記者クラブに情報を提供する(※通称「投げ込み」と言います)手順をご紹介します。

まず、投げ込む情報の分野を担当する記者クラブに事前に電話をします。
(※記者クラブの連絡先は、弊社刊行の『ネタもとPR手帖』など、広報関連書籍をご参照ください)

電話に受付の方が出たら、記者クラブへの取次ぎをお願いし、内線を回してもらいます。記者クラブの窓口と繋がったら、プレスリリースを投げ込みたい旨を伝えてください。

ここから先の手順は、各記者クラブによって異なります。既定の申請書を提出するよう案内される場合もあれば、電話だけで申請できる場合もあります。

いずれにしろ、

・プレスリリースの内容
・投げ込みを行う日時

これらは、ほとんどの場合聞かれますので、簡潔に答えられるようにしておくとよいです。

プレスリリースを何部持っていけばよいか、どこで受付すればよいかなど、投げ込み当日の動きについても、必ずこの電話で確認しておきましょう。

新型コロナ以降、外部情報は郵送のみ受け付けとなった記者クラブもあります。その場合も部数と宛先などしっかり確認しましょう。

投げ込むプレスリリースには、必ずホチキス止めをしておきます。記者クラブの棚はとても小さいので、クリアファイルや封筒など、かさばる外装は不要です。

また、記者に無理に話しかける、あるいは長居する等の行為は止めましょう。

・・・などなど、何だか怖そうなことばかり書いてしまいましたが、ここで成功事例をひとつご紹介します。

新型コロナの感染が拡大した2020年、飲食業や観光業は大ダメージを負いました。その救済として、各自治体がさまざまな補助金施策を行う中、ある企業様が都と官民連携して都内の観光業者をサポートするサービスを開始しました。

このプレスリリースを都庁記者クラブに投げ込みしたところ、その日のうちに2社の新聞社と2社のテレビ局から連絡がありました。結果、新聞2紙とニュース1番組に取り上げられ、そこから連鎖してさらに多くの新聞やテレビ、WEBニュースでも露出を獲得しました。

この場合、「新型コロナで観光業がダメージを受けている」という時事性と、「それをサポートする取り組みを各自治体が始めている」公益性、その一例としての「都と連携したサービス」が記者クラブの担当分野にあてはまった、と様々な要素が揃っていることが成功のポイントと言えましょう。

このように、ルールを満たす情報であれば、記者クラブへの投げ込みは有効です。しかし繰り返しになりますが、記者クラブに投げ込むプレスリリースは、誰が見ても社会的意義のある内容であることを必ず守ってください。ルールを厳守した上で記者クラブとよい関係性を築き、広報としてのステップを一段上がりましょう!

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