こんにちは、株式会社ネタもと メディアリレーションズ部です。
先日、長くキー局の報道番組に携わってこられた方が、弊社の経営者向けメディアセミナーにご登壇されました。その際、大変参考になる事例をお話しいただきましたので、この場を借りて皆様にも共有したいと思います。
<ネタもと 経営者向けメディアセミナーとは>
ネタもとが毎月開催する、経営視点で知っておきたいPRのヒントを学べる、経営者限定の勉強会。講師にはメディアに関わる様々な分野の第一人者をお招きし、経営に役立つPR戦略情報をお話しいただきます。
先日のセミナーでは、テレビマンの“リアル”を様々なエピソードとともにお話しいただけました。特に報道番組の制作においては常に時間に追われており、リサーチを行う余裕がなかなか無いのが現状だそうです。
そんなときに困るのが、テレビには不可欠な「画(え)」を撮影するためのロケ許可取り。
たとえばテレビのニュース番組で、「例年よりも長引く寒さに、野菜の値上がりが止まりません」というナレーションが流れたと想像してみてください。その時画面には、スーパーの野菜売り場の映像が流れているイメージがありませんか。
更に、買い物客の「こう野菜が高いと、なかなか買えないですね・・・」というコメントや、スーパーの野菜担当者が「寒いと鍋料理をされるご家庭が多いので例年は野菜が売れるんですが、今年は厳しいですね~」とコメントするような場面、どなたでも既視感があるかと思います。
当然、こうした映像を撮影するにも、メディアは事前にスーパーに取材許可を取らねばなりません。
しかし、上記のような内容の取材は、直接的にはスーパーの宣伝にはならないですよね。また、撮影クルーが店内をウロウロすると、店舗スタッフの仕事が増えたり、お客様への配慮も必要になったりするかもしれません。このような懸念からも、撮影オファーが断られることは多々あるそうです。
残念ながらお断りされてしまった場合、メディアはまた次の候補店を探し、連絡し、いちから説明をし直し取材打診をする・・・ということとなります。
忙しいテレビマンにとって、取材OK店が見つかるまでこのような作業を繰り返すのは、かなりの時間のロスです。ですので即決で「はい、いいですよ!」と取材を受けてくれるところは何よりもありがたく、感謝しているそうです。
今回のご登壇者のお話によると、メディア関係者同士では「ここはすぐ返事を戻してくれるよ」「あそこは結構いろいろと条件を付けてくるんだよなあ~」といった、あらゆる取材先のポジティブ・ネガティブな口コミが回っているそうです。
しかも制作会社や技術会社は様々な局のお仕事を担当しているため、自番組や自局だけでなく業界内で広く共有される、とのことでした。
このお話の中で事例として挙げられていたのが、近年あらゆるメディアでこぞって取り上げられている、とあるスーパーマーケットです。こちらは都内を中心に7店舗を運営されていますが、正直言うと、もっと多店舗展開している大手スーパーはいくらでもあります。
しかしこのスーパー、3~4年前くらいから、テレビの情報番組やニュース番組にひっぱりだこです。なんと年間に300本以上のテレビ取材を受け、年商38億にまで成長しているとか。
なぜこのようなことになっているのでしょうか。
それは、ご登壇者によると、このスーパーのメディア対応がテレビマンの間でとにかく評判が良いそうです。
前述したような、直接的にスーパーの宣伝にはならないような取材や、時には「今から撮影させてください!」というような急なお願いにも、嫌な顔ひとつなく「いいですよ!」と受けてくれる経営者の姿勢が、テレビマンの間で「あの店なら困った時も相談に乗ってくれる」と評判を呼び、いまでは多くのテレビマンが「あの社長には感謝しかない」「いつもお世話にばかりなっているので、何か良いかたちで返したい」と、すっかりファンになっているそうです。
ご登壇者いわく「あの社長に頼まれたら、断ることができる報道・情報番組は無いかもしれないです」とのことでした。
よく<広報とはファン作り>と言いますが、この社長はメディアに大勢のファンを作ることに見事に成功されたのだと思います。
テレビに限らず、新聞や雑誌など全般にわたり、メディアの方は社を超えた横のつながりも濃く、「噂で聞いたけど、〇〇社さんの広報の方はとても業界情報に詳しいらしいね」「△△社さんはお問い合わせをしても全然返事を返してくれない、って有名だよね」といった話をよくご存じです。
メディアは狭い世界なので、良くも悪くも噂が回りやすい、と言えましょう。もちろんメディアの要望すべてを受け入れなければいけない、ということではありませんが、メディアの大小や内容で区別することなく、しっかり誠実に素早く対応することは、円滑なメディアリレーションに非常に重要です。
メディアリレーションは、つまるところ信頼関係です。
よく、“成功するにはギブアンドギブ、テイクは後からついてくる”なんて言いますが、なぜか広報においてはメディアからテイクする(掲載される)ことばかり考えがちです。メディアに“してもらう”前に、“してあげる”ことを意識し、メディアから喜ばれる存在になることが究極のファン作りなのかもしれません。
メディアの事情や利便を理解し、自社の“良い噂”が業界に広まることを目指しましょう!