メディアが求めるSDGs広報の鉄則とは？

こんにちは、株式会社ネタもと メディアリレーションズ部です。

先日、弊社の経営者講座にご登壇いただいた世界的な経済誌の日本版編集長が、こんなことをおっしゃっていました。

すでに海外の先進国では、企業の経営や事業構造にサステナビリティが組み込まれていないと、投資家や金融機関も融資対象と見なさなかったり、大手企業も取引先として選ばない。SDGsへの取組みは、企業規模を問わず、すべての企業に必要なものになる時代がすぐそこまで来ています

持続可能な社会に向けて、新たな価値観が根付きつつありますね・・・。

当然、取り組んでいるだけでは誰にも伝わりません。
「いくら素晴らしいものを作っても、伝えなければ、ないのと同じ」とスティーブ・ジョブスは言いましたが、まさにその通り。広報による情報発信をしなければ、何も変わりません。

日本においても、キー局がSDGsウィーク特集を催すなど、言葉の認知度は非常に高まっていますね。
自社のSDGs取組みについてプレスリリースやニュースレターで報告する企業様も、どんどん増えています。

しかし一方でメディアの方々からは
「企業のSDGs広報の大多数は、メディアとして取り上げにくい」
という声が聞かれます。いったいなぜなのでしょうか？

先日、ネタもとメディアセミナーに登壇いただいた5大紙のSDGsご担当記者が、大変わかりやすくその辺を解説してくださったので、少しご紹介したいと思います。

実は企業様のSDGs関連発信物で一番多いのは、下記のような内容です。

「毎週月曜日に地域の清掃とごみ分別を行っています」
「海産物を扱う弊社は海の美化に寄付をしています」

とても素晴らしいお取り組みかと思います。社会貢献、という意味では賞賛されるべき行いなのですが、これらの発信に「SDGs」という言葉を使うのは、お勧めできません。

なぜならSDGsとは持続可能な開発目標を表すもので、＜国連で定められた、2030年までに達成すべき世界共通の目標。「2030年のあるべき姿」を示した17目標＞であるからです。

そして企業のSDGsについては大前提として、営利団体である企業の発信である以上、SDGs活動が本業（事業）と結びつき、収益につながることが必須なのです。

単なる“善行”のアピールは、残念ながらメディアから見れば宣伝的な発信でしかありません。

セミナーご登壇記者がおっしゃるには、ほとんどの企業のSDGs発信には上記の大前提に加えて

• 即時性……鮮度のある情報か
• 社会性……社会的意義のある情報か
• 独自性……あえて取り上げるユニークさのある情報か
• 記録性……時代の記録として残す価値のある情報か、具体的な成果が表されているか

の要素が足りず、報道として取り上げるのは難しいとのご見解を示されていました。

この4つは、SDGsに限らず、メディアアプローチをする際の情報発信には欠かせないものですよね。改めて意識したいものです。

一見とても難しいように思われるSDGs広報ですが、こんな事例もあります。

先日、とある製造業の中小企業様の環境へのお取り組みが、ビジネスメディアに大きく取り上げられました。この企業様は、開発と設備投資の結果、工場での製造過程でのCo2発生を65%削減することに成功し、それをプレスリリースで発表されました。

しかしこの企業様がメディアで取り上げられたのは、単にその事実だけによるものではありません。

当然、多大なコストをかけてCo2削減に取り組むことに、社内理解を最初から得られたわけではありませんでした。試行錯誤の中では様々な壁にもぶつかり、計画が頓挫しそうになったことも度々あります。何よりも、取り組み後の成果を示すためには、従来の自社事業が環境にかけてきた負荷も明らかにせざるを得ないため、その葛藤もありました。

そうしたキレイゴトだけでない過程も明らかにしたことで、このプレスリリースはメディアの胸を打ち、他社の参考にもなる点が高く評価されて掲載に至ったのです。

“SDGs広報”なんて構えてしまうと、何やらとても難しいように感じてしまいますが、メディアに刺さる情報発信の基本は同じです。ニュース性、社会性、独自性に加えてストーリー性のある内容が重要ということですね。

メディアに向けたSDGs広報については、５月に当サイトのホワイトペーパーでも解説しています。もしよろしければ、ご参照ください！

記事の内容は、以下の動画でもご覧いただけます